オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

紬の覚醒

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 つむぎが放った炎を怪異が取り入れていたのか、ジュッと手が焼ける音と熱さが伝わる。

「――ッ」

 その熱さに、紬はぐっと表情を歪めた。

 架瑠かけるはその様子に気付いて、唇を動かす。

 ――無理をしないで。

 唇の形からそう読み取り、紬は目の前が真っ赤に染まったような感覚を覚えた。

「ふざけるな!」

 ――怒号が、オカルト研究部の部室に響く。

 紬がこんなに感情をあらわにするのを見るのは、架瑠にとって初めてのことだった。

 彼に視線を向けると、目が合った。架瑠は、彼の足元に炎が渦巻かれていることに気付き、あぶない、と口を動かす。だが、その炎は呆気なく紬を包み込んでいき――黒板の血文字が『ジャマスルナ』とつづられる。

(――紬が、炎に包まれてしまった……?)

 ドクン、ドクンと架瑠の心臓が早鐘を打つ。目の前から彼が消えてしまう――……? そう考えて、架瑠は目の前が真っ暗になった。

 まるで半身を失ったかのような――……そんな感覚に、架瑠は目尻から涙を流す。

 涙は架瑠の首を絞めている人間ヒトの手にぽたり落ちた瞬間、ジュッと音を立てた。

「――泣かなくても、大丈夫だ」

 紬の声だった。炎が段々と薄れていき、代わりに人間の手を掴んでいる彼の手に、変化があった。

 爪が長いのだ。紬の手は、あんなに爪が長くない。

 ぐっと力を込めると、人間の手は痛そうにブンブンと振り切ろうとしたが、

 架瑠の首から手が離れ、彼は勢いよく教室の床に倒れ、咳き込んだ。ようやく息ができ、ほっとしたのも束の間、目の前の状況に言葉をむ。

「紬……なのか……?」
「ああ。どうやら、俺の中に眠る血が、目覚めたらしい」

 彼の姿はいつの姿とは異なっていた。まず、背丈からして違う。

 身体はシャープなラインだが、筋肉がしっかりと見え、赤と黒の炎模様が流れるように身体を覆い、彼が動くたびに紅い残像を残している。

 髪型だって、紅蓮の髪が長く伸び、燃え上がっている。額からは二本の黒い角が鋭く湾曲していた。角のあいだから小さな炎がスパークしているのがわかった。

 黄金色の瞳は鋭く輝き、瞳孔が細いスリット状に変化している。

 頬には炎の模様が流線型に広がっていた。

 両腕、両足に炎の鎧をまとい、手の爪は長く鋭いように見えた。左手には大きな刀の柄をしっかりと掴んでいる。

 それになにより――彼を包み込むオーラが違う。

 全身から紅い炎が燃え上がり、背中に血と炎が交錯する円型のマークが確認できた。

「これが、鬼童丸の……子孫の力……?」
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