オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

終わらない怪異

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 その日はそのまま解散し、ほっと一息ついたのも束の間、翌日の放課後、同じことが起きた。『よこせ』『かける』『にげて』の血文字が並び、架瑠かけるたちはげんなりとした表情を浮かべる。

「……連日ときたか」
「なんか、ごめん……」

 この怪異は、佑心うみが昨日言ったように自分のものだろう、と感じていた架瑠は、肩を落としてみんなに謝った。

「架瑠くん、キミはこの怪異に好かれているのかい?」
「わかりません」

 ふるりと首を横に振る架瑠に、つむぎは自身の紅蓮の髪をかき上げる。黄金の瞳で睨むように黒板を見つめ、昨日と同じように炎を使う。

「……あ、異界から戻ったみたいだね。ぴったり午後四時四十四分に異界に入り、出てくるとちょっと時間が進んでいるようだ」

 佑心が時計を見上げながら、楽しそうに推察を口にする。

「元凶を叩かなければ、いたちごっこになるんじゃないか、これ」
「明日も異界入り!?」
「喜ばないでください、羽井田先輩……!」

 目をキラキラと輝かせる佑心に対し、茉莉まつりは彼をいさめるように言葉を紡ぐ。

 ――そして、紬の予感は当たった。

 翌日も、翌々日も異界に取り込まれてしまい、架瑠たちは(佑心を除いて)頭を抱えてしまう。

「この部活、呪われているのか?」
「こんなに異界に入れるなんて、ワタシ、三年間で初めてのことだよ!」

 興奮気味に語る佑心の瞳は、宝石のようにきらめいていた。

「今年に入ってから、が多いということか……」
「部活でこんなに怪異に関わるとは、思ってなかったなぁ……」

 紬は再び炎で黒板を攻撃し、異界から帰還する。帰り方さえわかれば、この怪異は対処できると考えていた。――だが、こうも連続で怪異に巻き込まれると、さすがにそろそろ対処法を練ったほうがいいのではないか、とも思考を巡らせる。

「架瑠、お前あの血文字に覚えがあるか?」
「全然。……でも、『かける』『にげて』の文字は、なんだか懐かしい気がする」
「懐かしい?」

 こくり、と首を縦に振る架瑠。

 文字に対して懐かしい、なんて、どうしてそう感じたのだろうかと自分が不思議でならない。

 でも、あの文字は本当に架瑠のことを心配しているように見えて……彼はたどたどしくそのことを伝えた。

「――そうか」
「紬?」
「いや……なんでもない」

 紬がなにかを口にしようとして、すぐにふいと架瑠から顔をそらして自身の鞄を持って部室から出ていこうとする。

「おや、もう帰っちゃうのかい?」
「異界から帰還したんだから、いいだろ」

 それだけ言うと、紬は部室をあとにした。

 佑心は肩をすくめたが、連日の異界入りで帰るときは黒板を紬の炎で焼いてもらうので、知らないうちに疲れが溜まっているのかもしれない、と架瑠たちに伝え、自分たちも帰ろうか、と部室の外に出ていく。

「……なんだか、不思議なことがいっぱいね」
「……うん、本当に」

 この怪異は、どうしたら終わるのだろうか。

 架瑠はぼんやりと思考をしながら、部室から出ていった。
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