オカルト研究部員の非日常な日常

秋月一花

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2章:異存

中間テスト後 3話

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 もう一人。できれば一学期中に部員がほしいところだが、なかなか入部してくれる生徒はいない。

 もっとも、誰かがオカルト研究部が山奥の廃屋に向かい、戻ってきたときには六月の異常気象が消えた、という噂はあった。本当のことだし、と佑心うみはその噂を放っておき、オカルト研究部に入ってくれる人を待っていた――……

「はぁ、こんなに素晴らしい部活なのに、なぜ誰も入ってきてくれないんだ」

 しくしく、と泣き真似をする佑心に対し、つむぎが呆れたように彼を見る。

 異界――氷華ひょうか世界でテンションを上げていた彼の姿を思い出していたのだろう。

「でも、やっぱり得体の知れないものは『怖い』ですよね」
「うん? そうだね。知っていれば対策もできるかもしれない。知らないままなら、なにも対策できない。それは、すべての事柄に言えることではないかね?」
「……お前が一番、『得体の知れないもの』だと思うんだが……?」

 架瑠かけるの言葉に、佑心が反応をした。紬がじぃっと彼を見つめると、「そんなに見つめても、なにもでないよ」とくすりと笑った。

 あれから少ししか経っていないというのに、もうすでに遠い昔のような気がして、架瑠は目を伏せる。

 霊視を本格的に使ったのは、あの日が初めてだった。どうしても、蓮也れんやと修行しているときにはうまく使えなかったからだ。

 しかし、異界とこの現実世界は別なのか、霊視を使ってあんなに視えたのは初めてだ、と考え込んでいると、佑心がパンッと手を叩いた。その音にビクッと肩を揺らして彼に視線をやる。

「それはともかく! 今日はちょっと早めに下校して、カラオケに行こうではないか!」
「か、カラオケ、ですか?」
「オカルト研究部恒例になってきてませんか、テスト明けのカラオケ」

 架瑠が一年生の頃にも、テスト明けにはカラオケに連れていかれた。そして散々歌わされた。

「大声を出すのはストレス発散になるからね。だから、今日はパァッと遊んで、週明けからまたオカルトを研究しようではないか!」

 佑心がにっこりと微笑んでから立ち上がる。鞄を持って部室を出ていこうとするので、架瑠たちは顔を見合わせて、それぞれ鞄を手にしてから彼のあとを追う。

「そういえば、紬くん。六郷ろくごうさんってもうきているのかい?」
「おそらく。……カラオケまで乗せていけ、と?」
「よくわかったね!」

 佑心と紬が軽口を叩いているとき、架瑠はふと部室から鉄のような匂いを感じ、思わず振り返った。

 ――だが、なにもない。いつもの部室のままだった。

(気のせい、か?)

 そう、ここは現実世界なのだから、血の匂いなんて感じるはずがない。自分に暗示をかけるように心の中でつぶやき、架瑠は部室の鍵を閉めて職員室に戻した。それから、すぐに昇降口に向かう。

 なぎが紬を待っていたので、車に乗ってカラオケに移動した。

 中間テスト明けだからか、みんないつもよりもテンションが高く、カラオケは大いに盛り上がった。
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