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2章:異存
見たくない、夢
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「たぶん、根は良い人だと思います。周りには塩対応だけど、その理由もおそらく『鬼童丸の子孫』だから、自分と線引きしているのかな、と」
自分が考えたことを言葉に乗せる架瑠に、蓮也はうんうんと相槌を打つ。
「せっかくだからね、仲良くなったほうがいいよ。彼、強そうだし」
くすくすと笑う姿に首を傾げる架瑠。蓮也はそんな彼を見て笑みを深めた。
「そういえば、そろそろ中間テストの時期だね。テスト勉強をするなら、いつでも九鬼くんを連れてきていいからね」
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる架瑠。彼は両手を合わせて「ごちそうさまでした」と言ってから食器を重ねてシンクに運び、「テスト勉強します」と自室に向かう。
架瑠は「お風呂入ってー」と伊吹が呼びにいくまで、もくもくとテスト勉強をしていた。
お風呂に入ったあとも、寝る時間ギリギリまで勉強をしてからベッドに潜り込み、眠りに落ちる。
◆◆◆
――ぴちょん、ぴちょん。
水よりも粘り気のある液体が落ちる音。
――ぴちょん、ぴちょん。
視線を落とすと鮮血が足元に広がり、血の色をした手が架瑠の足にしがみつく。
「ひっ」
短い悲鳴が出た。むせかえるような鉄の匂い。――血の匂い。
どんなにもがいても、その手は架瑠の足から離れない。
血の海の底へ、引きずり込もうとする手に、架瑠はただ震えることしかできなかった。
その血の海の底に、二人の男女の姿が見える。
だが、その男女の顔はわからない。わからないからこそ、架瑠は理解した。
血の海の底に、両親がいる――……と。
架瑠には、誰にも話していない秘密がある。
それは――……交通事故で両親を亡くしてから、二人の顔が思い出せないことだ。
写真を見ても、ビデオを見ても、両親の顔にはまるでマジックで落書きしたような黒いもじゃもじゃがあり、どんな表情をしているのかわからない。
思い出そうとしても、その表情が思い出せないことに苦しんでいたときもあったが、今ではいつか思い出せたらいいな、と諦めがついてしまった。
「――どうして」
交通事故のとき、一人だけ生き残ったから? だから、自分を連れていこうとしているのか? と考えて、架瑠は首を左右に振る。
両親が、そんなことをするはずないと、信じているからだ。
蓮也が言うには、架瑠を庇うように覆いかぶさっていたらしい。愛する息子を守ったんだよ、と彼に優しく言われたことを思い出し、架瑠は口を開く。
「なんで、おれを連れていこうとする……!?」
悲痛な叫びを発する架瑠に、答えは返ってこなかった――……
自分が考えたことを言葉に乗せる架瑠に、蓮也はうんうんと相槌を打つ。
「せっかくだからね、仲良くなったほうがいいよ。彼、強そうだし」
くすくすと笑う姿に首を傾げる架瑠。蓮也はそんな彼を見て笑みを深めた。
「そういえば、そろそろ中間テストの時期だね。テスト勉強をするなら、いつでも九鬼くんを連れてきていいからね」
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる架瑠。彼は両手を合わせて「ごちそうさまでした」と言ってから食器を重ねてシンクに運び、「テスト勉強します」と自室に向かう。
架瑠は「お風呂入ってー」と伊吹が呼びにいくまで、もくもくとテスト勉強をしていた。
お風呂に入ったあとも、寝る時間ギリギリまで勉強をしてからベッドに潜り込み、眠りに落ちる。
◆◆◆
――ぴちょん、ぴちょん。
水よりも粘り気のある液体が落ちる音。
――ぴちょん、ぴちょん。
視線を落とすと鮮血が足元に広がり、血の色をした手が架瑠の足にしがみつく。
「ひっ」
短い悲鳴が出た。むせかえるような鉄の匂い。――血の匂い。
どんなにもがいても、その手は架瑠の足から離れない。
血の海の底へ、引きずり込もうとする手に、架瑠はただ震えることしかできなかった。
その血の海の底に、二人の男女の姿が見える。
だが、その男女の顔はわからない。わからないからこそ、架瑠は理解した。
血の海の底に、両親がいる――……と。
架瑠には、誰にも話していない秘密がある。
それは――……交通事故で両親を亡くしてから、二人の顔が思い出せないことだ。
写真を見ても、ビデオを見ても、両親の顔にはまるでマジックで落書きしたような黒いもじゃもじゃがあり、どんな表情をしているのかわからない。
思い出そうとしても、その表情が思い出せないことに苦しんでいたときもあったが、今ではいつか思い出せたらいいな、と諦めがついてしまった。
「――どうして」
交通事故のとき、一人だけ生き残ったから? だから、自分を連れていこうとしているのか? と考えて、架瑠は首を左右に振る。
両親が、そんなことをするはずないと、信じているからだ。
蓮也が言うには、架瑠を庇うように覆いかぶさっていたらしい。愛する息子を守ったんだよ、と彼に優しく言われたことを思い出し、架瑠は口を開く。
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