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2章:異存
加茂家で紬と 3話
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架瑠はさっと片手を挙手して、言葉を続ける。
「九鬼くんも、この世ならざるモノが視える人?」
「……それは、少し違う」
紬は立ち上がり、架瑠から少し離れた。そして手のひらを上にしてボッと紅蓮の炎を出した。
――そう、まるで紬の髪色のような炎を――……
「俺は――鬼童丸の子孫だ」
「鬼童丸……って、あの?」
鬼童丸――酒吞童子の子で、酒吞童子を討ち取った源頼光の弟、頼信にわざと掴まり仇討ちを狙ったという鬼。
「じゃあ、まさか六郷さんって……烏天狗?」
「よく知っているな。そうだ、六郷凪は俺が使役している烏天狗だ。……人間の姿が気に入って、ああなっているが」
呆れたように両肩を上げた紬に、架瑠は凪の姿を思い浮かべる。
「倉橋、お前はこの世ならざるモノが視えるのか?」
確かめるように尋ねられ、架瑠はこくりとうなずいた。
そして、架瑠は淡々と幼い頃からのことを話した。この世ならざるモノが視えること、両親を交通事故で亡くし、蓮也が自分を引き取ってくれたこと、霊力があるから修行をしていることなどを。
だが、いつも見る血の夢のことは言わなかった。
「……苦労しているんだな」
労わるような、優しい声だった。紬にそう言われて、架瑠は苦笑を浮かべる。
そんな架瑠たちの姿を見て、伊吹は目を丸くした。
(るーくん、成長したんだねぇ)
思わずほろりと涙が出そうになり、伊吹は慌てて自分の目を擦る。架瑠は滅多に友人を連れてこなかった。居候だから、という理由で。そもそも、彼の交友関係をよく知らない。
隣に住んでいる西谷姉妹とは、まるで兄妹のような関係だが、クラスメイトを家に連れてくることはなかった。
「蓮也さんも伊吹さんも、よくしてくれるから、こうして生きていけるよ」
照れたようにはにかむ架瑠に、たまらず伊吹は彼に抱きついた。ぎゅうっと抱きしめて、よしよしとその頭を撫でる。
「い、伊吹さん!?」
「もー、るーくんは本当にいい子だねぇ!」
わしゃわしゃ、わしゃわしゃと頭を撫でる伊吹。ぐしゃぐしゃになった髪はいつもよりも視界が良い。
「変わった目の色をしているな」
「……そう、だよね」
「俺も人のことは言えないが」
「……うん、それもそうだ」
架瑠の瞳の色を眺めた紬が、じっと彼を見据えて言葉を紡ぐ。それから自身の目元をトントンと人差し指で叩いた。
その様子に架瑠は少しだけホッとしたように息を吐く。
「生まれつきか?」
「そうだよ。両親は日本人だったんだけどね。目の色は誰に似たのか、謎なんだ」
「隔世遺伝の可能性があるからな……」
まだ架瑠のことをわしゃわしゃと撫でていた伊吹は、彼から離れた。そろそろ夕食の支度を始める時間だ。
「えーっと、キミ、名前はなんだっけ?」
「九鬼くんも、この世ならざるモノが視える人?」
「……それは、少し違う」
紬は立ち上がり、架瑠から少し離れた。そして手のひらを上にしてボッと紅蓮の炎を出した。
――そう、まるで紬の髪色のような炎を――……
「俺は――鬼童丸の子孫だ」
「鬼童丸……って、あの?」
鬼童丸――酒吞童子の子で、酒吞童子を討ち取った源頼光の弟、頼信にわざと掴まり仇討ちを狙ったという鬼。
「じゃあ、まさか六郷さんって……烏天狗?」
「よく知っているな。そうだ、六郷凪は俺が使役している烏天狗だ。……人間の姿が気に入って、ああなっているが」
呆れたように両肩を上げた紬に、架瑠は凪の姿を思い浮かべる。
「倉橋、お前はこの世ならざるモノが視えるのか?」
確かめるように尋ねられ、架瑠はこくりとうなずいた。
そして、架瑠は淡々と幼い頃からのことを話した。この世ならざるモノが視えること、両親を交通事故で亡くし、蓮也が自分を引き取ってくれたこと、霊力があるから修行をしていることなどを。
だが、いつも見る血の夢のことは言わなかった。
「……苦労しているんだな」
労わるような、優しい声だった。紬にそう言われて、架瑠は苦笑を浮かべる。
そんな架瑠たちの姿を見て、伊吹は目を丸くした。
(るーくん、成長したんだねぇ)
思わずほろりと涙が出そうになり、伊吹は慌てて自分の目を擦る。架瑠は滅多に友人を連れてこなかった。居候だから、という理由で。そもそも、彼の交友関係をよく知らない。
隣に住んでいる西谷姉妹とは、まるで兄妹のような関係だが、クラスメイトを家に連れてくることはなかった。
「蓮也さんも伊吹さんも、よくしてくれるから、こうして生きていけるよ」
照れたようにはにかむ架瑠に、たまらず伊吹は彼に抱きついた。ぎゅうっと抱きしめて、よしよしとその頭を撫でる。
「い、伊吹さん!?」
「もー、るーくんは本当にいい子だねぇ!」
わしゃわしゃ、わしゃわしゃと頭を撫でる伊吹。ぐしゃぐしゃになった髪はいつもよりも視界が良い。
「変わった目の色をしているな」
「……そう、だよね」
「俺も人のことは言えないが」
「……うん、それもそうだ」
架瑠の瞳の色を眺めた紬が、じっと彼を見据えて言葉を紡ぐ。それから自身の目元をトントンと人差し指で叩いた。
その様子に架瑠は少しだけホッとしたように息を吐く。
「生まれつきか?」
「そうだよ。両親は日本人だったんだけどね。目の色は誰に似たのか、謎なんだ」
「隔世遺伝の可能性があるからな……」
まだ架瑠のことをわしゃわしゃと撫でていた伊吹は、彼から離れた。そろそろ夕食の支度を始める時間だ。
「えーっと、キミ、名前はなんだっけ?」
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