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1章:始まり
校内案内 2話
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「九鬼くんの家は賑やかなの?」
「……賑やかというか……騒がしいというか……」
きれいな所作で箸を持ち、おかずを口に運ぶ姿はまるで貴族のようだ。
架瑠は上流階級の人たちを見たことはないが、時代劇や映画をたまに見たことがあった。そのときのことを思い出しながら、サンドウィッチをぱくりと食べる。
シャキシャキのレタスに塩気が強めのハム、マヨネーズの酸味で後味はさっぱりしていた。ツナマヨサンドやポテトサラダを挟んでいるものもある。どれも伊吹が作ってくれたもので、架瑠好みの味付けになっていた。
「騒がしい家……?」
「いろいろとあってな」
それだけ言うと黙々と食べ始めたので、架瑠も黙って食事を続けた。あっという間に食べ終わり、弁当箱をしまうと「じゃあ、校内の案内をするよ」と立ち上がる。
窓を閉めてカーテンを閉め、部室を出てからまずは三階を案内した。
三階には左側に一年生の教室、右側に三年生の教室、音楽室、理科室などがある。
雪国なので屋上はない。屋根は雪が落ちやすい作りになっている。屋上の代わりなのか、二階にテラスがあり、晴れているときは昼休みに生徒たちが集まり、人気の場所だ。
さっきまでいたオカルト研究部は、三階の一番奥にあり黒いカーテンで日光を遮っているからか不気味な場所とも言われている。
架瑠がオカルト研究部に入ったのは、この世ならざるモノが視えるからだ。
怖いものは知らないから怖い、というテーマでオカルト研究部の紹介をした先輩――部長の羽井田佑心のことを思い出していると、「架瑠くん」と声をかけられて振り返る。
「もうお昼食べ終わったのかい?」
柔らかい口調で話しかけてきたのは、架瑠が先程まで思い出していた佑心だった。
「羽井田先輩……」
「おや、その子が噂の転校生? ワタシよりも背が高いとは……育ったんだねぇ」
ウェーブかかった柔らかい背中まである琥珀色の髪をリボンで一つに結びローサイドテールにし、露草色の瞳は切れ長で鋭い。たまに黒縁の眼鏡をかけていることもあるが、今日は裸眼のようだ。オカルト研究部部長の佑心は、まじまじと紬のことを眺めて自身の背と比べている。
「おかげさまで視線を気にせず食事できました。ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。ところでキミ――ええと、確か九鬼紬くんだったかな?」
「どうして、俺の名を?」
怪訝そうに眉間に皺を刻む紬に、佑心は目元を細めて微笑んだ。
「晴雪学園に転入生なんて珍しいこと、このワタシが調査しないはずないだろう! なぁ、架瑠くん」
自身の胸元に手を当て、自信満々に言い切った佑心に、紬は困惑の表情で架瑠を見た。彼は軽く頬をかいて眉を八の字にして苦笑を浮かべる。
「羽井田先輩は好奇心旺盛なんだ」
「そうとも! だからキミの名前はもちろん、いろいろなことを知っているよ、調べたからね」
「勝手に調べられるって、すごく気色悪いんだが?」
「……賑やかというか……騒がしいというか……」
きれいな所作で箸を持ち、おかずを口に運ぶ姿はまるで貴族のようだ。
架瑠は上流階級の人たちを見たことはないが、時代劇や映画をたまに見たことがあった。そのときのことを思い出しながら、サンドウィッチをぱくりと食べる。
シャキシャキのレタスに塩気が強めのハム、マヨネーズの酸味で後味はさっぱりしていた。ツナマヨサンドやポテトサラダを挟んでいるものもある。どれも伊吹が作ってくれたもので、架瑠好みの味付けになっていた。
「騒がしい家……?」
「いろいろとあってな」
それだけ言うと黙々と食べ始めたので、架瑠も黙って食事を続けた。あっという間に食べ終わり、弁当箱をしまうと「じゃあ、校内の案内をするよ」と立ち上がる。
窓を閉めてカーテンを閉め、部室を出てからまずは三階を案内した。
三階には左側に一年生の教室、右側に三年生の教室、音楽室、理科室などがある。
雪国なので屋上はない。屋根は雪が落ちやすい作りになっている。屋上の代わりなのか、二階にテラスがあり、晴れているときは昼休みに生徒たちが集まり、人気の場所だ。
さっきまでいたオカルト研究部は、三階の一番奥にあり黒いカーテンで日光を遮っているからか不気味な場所とも言われている。
架瑠がオカルト研究部に入ったのは、この世ならざるモノが視えるからだ。
怖いものは知らないから怖い、というテーマでオカルト研究部の紹介をした先輩――部長の羽井田佑心のことを思い出していると、「架瑠くん」と声をかけられて振り返る。
「もうお昼食べ終わったのかい?」
柔らかい口調で話しかけてきたのは、架瑠が先程まで思い出していた佑心だった。
「羽井田先輩……」
「おや、その子が噂の転校生? ワタシよりも背が高いとは……育ったんだねぇ」
ウェーブかかった柔らかい背中まである琥珀色の髪をリボンで一つに結びローサイドテールにし、露草色の瞳は切れ長で鋭い。たまに黒縁の眼鏡をかけていることもあるが、今日は裸眼のようだ。オカルト研究部部長の佑心は、まじまじと紬のことを眺めて自身の背と比べている。
「おかげさまで視線を気にせず食事できました。ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。ところでキミ――ええと、確か九鬼紬くんだったかな?」
「どうして、俺の名を?」
怪訝そうに眉間に皺を刻む紬に、佑心は目元を細めて微笑んだ。
「晴雪学園に転入生なんて珍しいこと、このワタシが調査しないはずないだろう! なぁ、架瑠くん」
自身の胸元に手を当て、自信満々に言い切った佑心に、紬は困惑の表情で架瑠を見た。彼は軽く頬をかいて眉を八の字にして苦笑を浮かべる。
「羽井田先輩は好奇心旺盛なんだ」
「そうとも! だからキミの名前はもちろん、いろいろなことを知っているよ、調べたからね」
「勝手に調べられるって、すごく気色悪いんだが?」
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