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33話

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 だけど、リアンはぎゅうぎゅうとわたくしを抱きしめてきて、離れることが出来なかった。

「――ずっと、夢を見ていた」
「夢?」
「うん、イザベラと出会ってからの夢……」

 わたくしが小さい頃の夢を見ていたのね……。満足したのか、すっと身体を離すと、自分とわたくしの身長差を確かめるために頭に手を置いてみたりした。……人型の姿になった時も驚いたけれど、こんなにも早く大きくなってしまうなんて……。

「……リアンが目覚めたら、色々なことを話そうと思っていたのだけど……、その姿を見たら驚いてしまって、話したいことが頭の中から飛んで行っちゃった」

 わたくしが眉を下げてそう言うと、リアンは目をパチパチと目を瞬かせてそれからふわりと微笑んだ。わたくしよりもうんと背が高くなってしまったリアンを見上げると、くしゃりと髪を撫でられた。
 ヒューバートとジェレミーくらいの年齢……かしら。彼らもわたくしから見れば大人だし……、リアンが憧れていたし……。……それにしても、不思議な感じよね……。

「アリコーンの成長って、こんなに早いものなの……?」
「……ボクが遅すぎただけだよ」
「遅すぎた?」

 リアンはわたくしの手を取ってベッドまで移動すると、ベッドに座らせて自分も隣に座った。

「悠久の時を過ごすボクらにとって、成長するのは自分の気持ち次第なところがあるんだ」

 ……そうね、ユニコーンたちは長命だとお父様が言っていた。……あの時、初代ユニコーンの乙女と一緒に居たユニコーンは寿命をまっとう出来たユニコーンなのか……それとも、この国で伝えられているユニコーンなのかはわからない。

「ボクはアリコーンに突然変異しちゃったけど、生まれた時はユニコーンだったんだよ。それから長い時間が流れる間に、翼が生えちゃった。でもね、ユニコーンたちはボクのことをちゃんと群れの一匹として扱ってくれたんだ」

 リアンは昔を懐かしむように目を伏せる。……隣に居るわたくしは、リアンの言葉をただ聞いているしか出来なかった。

「そのうちに、君の声が聞こえた」
「……わたくしの、声?」
「うん、待ち望んでいた命が生まれたのを感じたんだ」

 ……だからリアンは、わたくしが幼い頃から一緒に居たのね……。もしかしたらユニコーンには、自分の乙女がわかるのかしら……?

「寝ている間に全部思い出した」
「……思い出す?」
「うん、その杖……イザベラにしか使えないよね」

 小さくうなずいた。どうして今日目覚めたばかりのリアンが、そんなことを知っているのだろう……? わたくしがリアンを見上げると、リアンはそっと目を開けてわたくしを見る。

「――ボクらは、初代の命の一部を授かっている」
「――え?」
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