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21話
しおりを挟む「……それにしても、青色のローブって不思議な感じね」
「神帝国では一部の人のみに許された色だそうですよ」
「へぇ……」
≪イザベラー! 来たよー!≫
丁度良いタイミングでリアンが来た。バルコニーの扉を開けて中へ招く。
「それでは、ランシリル様の元へ向かいましょう」
「そうね」
リアンはアリコーンの姿のまま歩き出す。わたくしは荷物を持とうとしたけれど、エマが先に持ってしまった。にこっと微笑むエマは、わたくしに荷物を持たせようとはしなかった……。
……ランシリル様は既に準備を終えていたようだ。そして、わたくしたちに気付くと微笑みを浮かべて「お待ちしておりました」と口にした。
「転移魔法を使います。本日は私と、ユニコーンの乙女、アリコーン様、それから護衛にヒューバートとジェレミーで行きます。招待状の内容が終わり次第、戻りますので……」
一体どんな内容なんだろう……。……ちょっと気になるけれど、ランシリル様はにこにこと笑っていて聞き出せる雰囲気ではない……。あまり気にしちゃダメかしら……?
「アリコーン様の分の服も用意しました」
「え、そうなんですか?」
「はい。なので、あちらで人型になるのでしたら、私が用意した服を着ていただきたく……」
≪良いよー≫
「……大丈夫みたいです」
リアンがパタパタと翼を動かす。……リアンはいつも通りね。わたくしはちょっとドキドキと緊張して来た。ゆっくりと深呼吸を繰り返して心を落ち着かせてから、わたくしはランシリル様に向かって小さくうなずいた。
「では、行きましょうか」
「はい、お願いします」
ランシリル様はどこからか杖を取り出して……え、本当にどこから取り出したの? そんなに長い杖一体どこから……? と驚いているうちに転移魔法が発動した。……ふわっと浮遊感。不思議な感じ……、あ、荷物! と思ったら、ヒューバートがしっかりエマから受け取っていたみたい……。
「つきましたよ」
「え、もう!?」
「転移魔法ですから」
さらりと言われてわたくしは目を瞬かせた。……あの時は寝ていたけれど、転移魔法ってそんなにあっさり目的地につくのね……。
「それでは、参りましょう」
「はい」
……ここ、王宮の近くだわ。……まさか、ヴァプール王国に来ることになるとは思わなかった……。
王宮に向かうわたくしたちの姿を見て、ひそひそとなにかを言われているようだ。わたくしよりもリアン……アリコーンがいることに驚いているようだけど……。
王宮の門番に招待状を差し出すランシリル様。門番は招待状を確認すると、王宮へ入れてくれた。
「……緊張していますか?」
「……バレてます?」
「そんなに緊張しなくても、イザベラ様はイザベラ様のままで良いのですよ」
「……ありがとうございます」
わたくしは、わたくしのままで……。
王宮内に入り、目的地へと足を運ぶランシリル様。その足取りはまるでこの王宮内を全て知り尽くしているように的確だ。
「――さぁ、ここが目的地です」
「……ここは、大広間?」
「ええ、パーティーに参加して欲しいとのことでしたので」
「……そろそろ、なんのパーティーか教えて頂けませんか」
「見ればわかりますよ」
ランシリル様がそう言うと、ヒューバートとジェレミーが扉を開けた。……中に居た人たちが一斉にわたくしたちへ視線を向ける。ランシリル様が一歩踏み出して、中へと入った。
「神帝国から参上しました、神官長のランシリルと、ユニコーンの乙女、イザベラ様です。……そして、本日はアリコーン様も来ていただけました。護衛の二人の入室もお許し願いたい」
凛とした声だった。ざわざわとしていた会場に、ランシリル様の声が広がり、静かになる。
「良く来てくださいました、神帝国の神官長様とユニコーンの乙女……。久しぶりだな、イザベラよ」
「お久しぶりでございます、国王陛下」
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