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18話

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 わたくしのそんな疑問は、半年もすれば気にもならなくなった。アリコーン……いえ、リアンと共にわたくしは神殿のお仕事をランシリル様から割り振られていた。それは、リアンと共にお祈りをすること。
 一日に一回だけのお祈り。リアンと手を繋いで目を閉じて、とにかく祈る。祈りの時間は一日最短五分。最長一時間。なぜこんなに時間に差があるのか……。
 ランシリル様の気分で決まっているのかもしれない。
 そんな日々を過ごしているうちに、手の甲に浮かび上がった紋章のことは気にならなくなった。
 だけど、そんな平和な日が続くはずもなく――……。

「ヴァプール王国から招待状が届きました。ユニコーンの乙女であるイザベラ様に」
「え、わ、わたくしに招待状、ですか……?」
「あちらでは天災が酷くなっているようですが、行きますか?」

 ――わたくしがヴァプール王国から離れたから……?
 わたくしが悩んでいると、リアンが先に返事をした。

「行く!」
「え、リアン?」
「行って、ちゃんと注意する!」

 注意? とわたくしが首を傾げると、リアンは意気込んでいるようだった。

「では出席しましょう。楽しみですね、色々と」
「そうでしょうか……。と言うか、それ一体なんの招待状ですか……」

 にこにこと微笑むランシリル様に、わたくしは一抹の不安を覚えながらも……ヴァプール王国からの招待を受けることになった。

「リアン、さっき注意するって言っていたけど、何を注意するの?」
「んーと、イザベラをないがしろにしたこと! ユニコーンの乙女だって知らないからって、女の子をそまつに扱っちゃダメって!」
「リアン……」

 わたくしのことをそこまで気に掛けていたのね……。と言うよりも、どこでその情報を得てきたのかしら……。もしかして、わたくしたちユニコーンに見守られている……?
 そうだとしたら、嬉しいような、そんなに不安を与えているんだろうかと……複雑な気持ちになった。

「リアンは人間の姿で行くの?」
「大分慣れたけど、アリコーンの姿のほうが楽~」
「それじゃあ、着替えを持っていきましょう。それまではアリコーンの姿でも良いと思うし……」

 アリコーンは人の姿でもスキンシップが激しいから、何だかドキドキするのよね。男性に慣れていないってこともあるだろうけど。
 だって、ディラン殿下とは一度もデートしたことないし。誕生日の贈り物は頂いた。恐らく、ディラン殿下は選ばずに自身の部下に選ばせたと思う。顔を合わせて「誕生日おめでとう」なんて一度も言われたことないし。
 元々、わたくしに興味がなかったのよね、彼……。

「どうしたの、イザベラ?」
「いや……なんだか、自分に女性の魅力が足りない気がして気分が沈んでしまったの……」
「んーと、イザベラは充分に魅力的な女性だよ?」
「……ありがとう、リアン」

 そう言ってくれるのは、きっとあなただけだわ……。
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