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2話
しおりを挟む「こ、婚約破棄された!?」
「ディラン殿下に!?」
お父様とお母様がまったりと過ごしていた時間に、こんな話題を提供するのは心苦しかったけれど……わたくしがこくりとうなずくと、どちらも黙ったまま……。そ、そんなにショックだったのかしら?
「……イザベラ、聞きたいんだが……。アリコーン様がここにいらっしゃると言うことは……」
「お父様? 娘の口から何を言わせようとしているのですか?」
パシン、とお母様がお父様の手を扇子で叩いた。お母様、ありがとうございます。わたくしとアリコーンを見て、両親はわたくしがまだ乙女だと気付いたみたい。……そりゃあ、そうよ。キスを落とされるのは大体手の甲。おやすみなさいのキスは頬。
アリコーンと一緒に居られないような行為は、一切していない。
「ユニコーンの乙女の加護が要らないとは……。そろそろ王国傾きそうだから、神帝国に逃げようか。きっと保護してくれるだろうし。ユニコーンの乙女の伝説は神帝国にも伝わっているし」
「お父様、王国が傾きそうってどういうことですの?」
「ああ、イザベラは王妃教育で忙しかったもんね。最近、貴族の腐敗がすごくって。公爵や侯爵が主だから、止める者も居ないし……」
「ユニコーンの乙女の加護は、そんな腐敗した貴族にも効くのね……」
お父様は子爵。子爵だけど……なぜか学者をしている。その中でもユニコーンの乙女に関しては、お父様の右に出る者は居ないと言われているの。そして、最もユニコーンの乙女の研究をしていたお父様のところに、わたくしが生まれて……ユニコーンの乙女になった。
お父様の努力の証かしらね……?
≪どうしたの?≫
「なんでもありませんわ。ねぇ……わたくしたち、この国から出ようと思うのだけれど、あなたはどうする?」
≪イザベラについて行くよ!≫
そう言って楽しそうにパタパタと翼を動かすアリコーン。か、可愛い……。……わたくしたちがこの国から出て行くことは、王国にとってあまり良くないことかもしれないけれど……。
婚約破棄されたのだから、別に構わないわよね。
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