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4章

4章104話(404話)

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 その後、お母様に相談して舞踏会のドレスを用意したり、アル兄様やヴィニー殿下と一緒に魔法のことを話したり、セリーナ先生が領地から来てくれて、ダンスのレッスンを受けたりとなかなかに忙しくとも楽しい日々を過ごしていた。

 アカデミーの寮に戻る日が来て、アル兄様とヴィニー殿下、ディアも一緒に馬車に乗ってアカデミーへ戻る。家族と使用人たちが見送ってくれた。シー兄様は「また後でな」とひとり別行動になったみたいで、ディアが少し寂しそうだった。

 エドが「行ってらっしゃい」と笑顔を浮かべて手を振ってくれる。馬車の窓から手を振り返すと、エドの目に涙が滲んだのが見えた。またたくさん手紙を書こう。エドが寂しい思いをしないためにも。

「それにしても、結構長い休暇だったね」
「このあとすぐに舞踏会だもんなぁ」
「……なんだか緊張しますわね……」

 ディアが胸元に手を置いてゆっくりと深呼吸を繰り返す。

「緊張?」

 と首を傾げて問うと、ディアは眉を下げて微笑む。

「ええ……。馬車から降りたら注目を浴びそうで」

 それは、まぁ、確かにそうかもしれないけれど……。それにひとりだけ注目されるわけじゃないから、と変なフォローを入れながらも馬車は真っ直ぐにアカデミーに向かう。長期休暇明けだからか、とても賑わっているようだ。

「そう言えば、アルはパートナーを選んだの?」
「ああ、ジーン嬢に頼んだ」
「……えっ、ジーンに!?」

 驚いて大きな声を上げてしまった。いつの間に申し込んだんだろう? とアル兄様をじっと見つめると、彼はぽりぽりと頬を指で掻く。

「手紙のやり取りがあって、その流れで。ジーン嬢の商売魂には負けるよ」
「ジェリーじゃなくて、ジーンに商売魂……?」
「思い当たることはありますけれどね……」

 ブライト商会で育ったジェリーには、きっと商売魂はあると思うけれど、ジーンに……? と考え、ディアの言葉に思わず首肯した。思えば彼女も輸入したものを宣伝していた。

「レイチェル様とも協力して、魔道具を売り出すことにしたんだ」
「い、いつの間に……」
「リザとヴィーが寝込んでいる間に。面白そうだから乗った」

 にっと白い歯を見せて笑うアル兄様に、私たちは顔を見合わせた。そしてヴィニー殿下が「えー、いいなー」と羨ましがっている。

「ヴィーはリザの杖を作ったから良いじゃん」
「それはそれ、これはこれ」
「……本当におふたりは魔法が好きなんですのね」

 しみじみと呟くディアに、アル兄様とヴィニー殿下は一瞬視線を交わして「もちろん!」と言葉を重ねた。

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