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4章
4章88話(388話)
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翌日。私たちはジーンたちを迎え入れるために玄関に集合した。そう、お茶会は今日なのだ。朝からソワソワとしている私たちを、家族は優しく見守ってくれていた。
お昼近くになり、馬車が近付いて来る音が聞こえ、私とディアは顔を見合わせて互いに微笑み合う。
玄関の扉が開き、ジーン、イヴォン、ジェリーが私たちを見て、一瞬驚いたように目を見開き、
「いらっしゃ――」
私の言葉を遮って、ジーンが抱き着いてきた。びっくりして「ジーン?」と裏返った声が出た。イヴォンとジェリーがゆっくりとこちらに近付いて来て、ジーンの背中に手を置く。
「ジーン、そんなに急に抱き着いたら、リザがびっくりしちゃうわ」
「ね? リザ姉様、大丈夫だったでしょう?」
――ジェリーが眉を下げた。きっと、ジーンとイヴォンにいろいろと聞かれていたのだろう。
「……うん、でも、やっぱり不安だったのよ。……無事でよかった、エリザベスも、ディアも」
私から離れて、今度はディアに抱きつくジーンに、ディアはそっと彼女のことを抱きしめ返した。
「――ありがとう。わたくしのことも、心配してくれて」
「大事な友人なのよ? 心配するのは当然よ!」
きっぱりと言い切るジーンに、ディアはほんの少しだけ口角を上げて、ぎゅうっと強くジーンを抱きしめる。
「――ええと、積もる話もたくさんあるし、お腹も空いたでしょう? お茶会の準備はバッチリだから、案内するわ」
玄関でこうして話しているだけでもなんだか楽しくて、あっという間に時間が過ぎそうな予感がした。だからこそ、早めに移動しようとみんなを中庭に案内する。
アンダーソン家の使用人たちが手伝ってくれたおかげで、とても綺麗な場所を用意することができた。それに、美味しそうな料理とお菓子もすでにテーブルに並んでいる。リタとタバサが、私たちに気付いて椅子を引いてくれた。
みんなが座ったことを確認してから、お茶を淹れ始める。
お茶を淹れてみんなに渡し、一礼すると私たちから離れた。離れた、と言っても会話が聞こえる程度の距離だろう。ここに待機しているので、用があれば呼んで欲しいということだ。
「それじゃあ、お茶会を始めましょう」
「今日は友人たちの集まりだから、自由に楽しんでちょうだい」
ディアがパンっと両手を顎の下で合わせ、私もみんなを見渡してから言葉を発する。みんな、小さくうなずいた。
こうして、お茶会がスタートした。みんなそれぞれ、お茶を一口飲み誰から会話を振ろうか悩んでいるみたいだった。
「――身体の具合は大丈夫? 寝込んでいたのでしょう?」
まずは、イヴォンが心配そうに聞いてきた。私は「平気よ」と伝える。そこで、私はカナリーン王国でのことを話すことに決めた。
淡々とした口調で話したのは、ヴィニー殿下が陛下に伝えたようなこと。その話をすると、シン、と静まり返ってしまったけれど……、ジーンが沈黙を破るように口を開く。
「……それで寝込んでいたのね……。今はもう大丈夫なのね?」
「ええ、もうすっかり! 魔力も元に戻ったと思う」
安心させるように微笑むと、ジーンたちはホッとしたように息を吐いた。
「精霊たちもリザのところに帰ってきたの?」
「うん。ソル、ルーナ、おいで」
精霊たちの名を呼ぶと、ソルとルーナが私の足元からぴょこりと顔を出した。そして、みんなの前にその姿を現すと、声を揃えて「久しぶり!」と声を弾ませた。
ソルもルーナも、みんなのことが大好きみたい。
「本当に久しぶりに会えた気がするわ」
「リザに会うのも久々ですもの」
「精霊界……」
ぽつり、とジェリーが言葉をこぼした。
お昼近くになり、馬車が近付いて来る音が聞こえ、私とディアは顔を見合わせて互いに微笑み合う。
玄関の扉が開き、ジーン、イヴォン、ジェリーが私たちを見て、一瞬驚いたように目を見開き、
「いらっしゃ――」
私の言葉を遮って、ジーンが抱き着いてきた。びっくりして「ジーン?」と裏返った声が出た。イヴォンとジェリーがゆっくりとこちらに近付いて来て、ジーンの背中に手を置く。
「ジーン、そんなに急に抱き着いたら、リザがびっくりしちゃうわ」
「ね? リザ姉様、大丈夫だったでしょう?」
――ジェリーが眉を下げた。きっと、ジーンとイヴォンにいろいろと聞かれていたのだろう。
「……うん、でも、やっぱり不安だったのよ。……無事でよかった、エリザベスも、ディアも」
私から離れて、今度はディアに抱きつくジーンに、ディアはそっと彼女のことを抱きしめ返した。
「――ありがとう。わたくしのことも、心配してくれて」
「大事な友人なのよ? 心配するのは当然よ!」
きっぱりと言い切るジーンに、ディアはほんの少しだけ口角を上げて、ぎゅうっと強くジーンを抱きしめる。
「――ええと、積もる話もたくさんあるし、お腹も空いたでしょう? お茶会の準備はバッチリだから、案内するわ」
玄関でこうして話しているだけでもなんだか楽しくて、あっという間に時間が過ぎそうな予感がした。だからこそ、早めに移動しようとみんなを中庭に案内する。
アンダーソン家の使用人たちが手伝ってくれたおかげで、とても綺麗な場所を用意することができた。それに、美味しそうな料理とお菓子もすでにテーブルに並んでいる。リタとタバサが、私たちに気付いて椅子を引いてくれた。
みんなが座ったことを確認してから、お茶を淹れ始める。
お茶を淹れてみんなに渡し、一礼すると私たちから離れた。離れた、と言っても会話が聞こえる程度の距離だろう。ここに待機しているので、用があれば呼んで欲しいということだ。
「それじゃあ、お茶会を始めましょう」
「今日は友人たちの集まりだから、自由に楽しんでちょうだい」
ディアがパンっと両手を顎の下で合わせ、私もみんなを見渡してから言葉を発する。みんな、小さくうなずいた。
こうして、お茶会がスタートした。みんなそれぞれ、お茶を一口飲み誰から会話を振ろうか悩んでいるみたいだった。
「――身体の具合は大丈夫? 寝込んでいたのでしょう?」
まずは、イヴォンが心配そうに聞いてきた。私は「平気よ」と伝える。そこで、私はカナリーン王国でのことを話すことに決めた。
淡々とした口調で話したのは、ヴィニー殿下が陛下に伝えたようなこと。その話をすると、シン、と静まり返ってしまったけれど……、ジーンが沈黙を破るように口を開く。
「……それで寝込んでいたのね……。今はもう大丈夫なのね?」
「ええ、もうすっかり! 魔力も元に戻ったと思う」
安心させるように微笑むと、ジーンたちはホッとしたように息を吐いた。
「精霊たちもリザのところに帰ってきたの?」
「うん。ソル、ルーナ、おいで」
精霊たちの名を呼ぶと、ソルとルーナが私の足元からぴょこりと顔を出した。そして、みんなの前にその姿を現すと、声を揃えて「久しぶり!」と声を弾ませた。
ソルもルーナも、みんなのことが大好きみたい。
「本当に久しぶりに会えた気がするわ」
「リザに会うのも久々ですもの」
「精霊界……」
ぽつり、とジェリーが言葉をこぼした。
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