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4章
4章72話(372話)
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「それじゃあ、ちょっと失礼するね」
ヴィニー殿下がそっと、私の首にネックレスをつける。アル兄様が机の引き出しから手鏡を取り出して、差し出す。その手鏡を受け取って、鏡の中の自分に視線を落とした。
首元で煌めく、透き通るようなアメジストとプラチナのネックレス。控えめな大きさのティアドロップがとても可愛い。
「……どう、かな?」
「とても気に入りました。ありがとうございます、アル兄様」
アメジストに触れないように首元に手を置き、アル兄様に笑顔を浮かべるとホッとしたような表情をして「良かったぁ……」とその場にしゃがみ込んでしまった。
「よくデザインできたね」
感心したように呟くヴィニー殿下に、アル兄様が彼に視線を向ける。そしてすっと机を指さした。
「ジーン嬢に頼んでいろんな設計図を見せてもらったんだ。宝石の設計図も、魔法陣も結構やりがいがあるよ」
「アルの意外な才能が芽生えたのかも?」
「意外とって失礼な」
笑い合うアル兄様とヴィニー殿下に、思わず私も表情が綻んだ。ネックレスと指輪を身に付けるって、なんだか少し、照れくさい気もする。
「……大切にします」
目を閉じて両手を重ねると、アル兄様が小さな声で「……うん」と呟いた。それからすぐに目を開けて、手を下げて「似合いますか?」と首を傾げ見る。
ふたりとも、「とても良く似合っている」と答えてくれた。
「それにしても、アルが僕色の宝石でデザインしていたっていうのが、結構驚きだったなぁ」
「アンダーソン家の一員として赤色を使うと思った?」
こくり、と素直にうなずくヴィニー殿下に、アル兄様は立ち上がってから後頭部に手を置いた。
「それも考えたんだけどね、リザはヴィーの婚約者になると思っていたから、アンダーソン家の色じゃなくて、ヴィーの色が良いと思ったんだよ。……ジーン嬢からのアドバイスもあったしね」
「ジーンから?」
一体どう言ってジーンに協力してもらったのだろう? 少し気になったけれど……それよりも、私とヴィニー殿下が婚約者になったのはつい先日のことなのに、どうして? 巫子の力で私たちのことが視えたのかしら……?
「そう。リザを任せるにはヴィーかなぁって思っていたから。リザには家族愛の他にも、いろいろな愛情を受けて欲しいからね」
「いろいろな愛情……?」
「そう、友達や恋人から受けられる愛情。……まさか婚約者まで飛ぶとは思わなかったけど……まあ、貴族だから仕方ないのかもしれないけどね。なんせ王族と公爵家だし」
しみじみと言葉を紡ぐアル兄様は、私たちに顔を向けてそれから私に近付いて両肩に手を置いた。
「なにかあったらすぐに言うんだよ」
「え? は、はい」
「大切にするよ?」
「それは当然! でも、僕はリザの『お兄様』だからね」
パチンとウインクするアル兄様に、なんだか心が温かくなった気がした。
ヴィニー殿下がそっと、私の首にネックレスをつける。アル兄様が机の引き出しから手鏡を取り出して、差し出す。その手鏡を受け取って、鏡の中の自分に視線を落とした。
首元で煌めく、透き通るようなアメジストとプラチナのネックレス。控えめな大きさのティアドロップがとても可愛い。
「……どう、かな?」
「とても気に入りました。ありがとうございます、アル兄様」
アメジストに触れないように首元に手を置き、アル兄様に笑顔を浮かべるとホッとしたような表情をして「良かったぁ……」とその場にしゃがみ込んでしまった。
「よくデザインできたね」
感心したように呟くヴィニー殿下に、アル兄様が彼に視線を向ける。そしてすっと机を指さした。
「ジーン嬢に頼んでいろんな設計図を見せてもらったんだ。宝石の設計図も、魔法陣も結構やりがいがあるよ」
「アルの意外な才能が芽生えたのかも?」
「意外とって失礼な」
笑い合うアル兄様とヴィニー殿下に、思わず私も表情が綻んだ。ネックレスと指輪を身に付けるって、なんだか少し、照れくさい気もする。
「……大切にします」
目を閉じて両手を重ねると、アル兄様が小さな声で「……うん」と呟いた。それからすぐに目を開けて、手を下げて「似合いますか?」と首を傾げ見る。
ふたりとも、「とても良く似合っている」と答えてくれた。
「それにしても、アルが僕色の宝石でデザインしていたっていうのが、結構驚きだったなぁ」
「アンダーソン家の一員として赤色を使うと思った?」
こくり、と素直にうなずくヴィニー殿下に、アル兄様は立ち上がってから後頭部に手を置いた。
「それも考えたんだけどね、リザはヴィーの婚約者になると思っていたから、アンダーソン家の色じゃなくて、ヴィーの色が良いと思ったんだよ。……ジーン嬢からのアドバイスもあったしね」
「ジーンから?」
一体どう言ってジーンに協力してもらったのだろう? 少し気になったけれど……それよりも、私とヴィニー殿下が婚約者になったのはつい先日のことなのに、どうして? 巫子の力で私たちのことが視えたのかしら……?
「そう。リザを任せるにはヴィーかなぁって思っていたから。リザには家族愛の他にも、いろいろな愛情を受けて欲しいからね」
「いろいろな愛情……?」
「そう、友達や恋人から受けられる愛情。……まさか婚約者まで飛ぶとは思わなかったけど……まあ、貴族だから仕方ないのかもしれないけどね。なんせ王族と公爵家だし」
しみじみと言葉を紡ぐアル兄様は、私たちに顔を向けてそれから私に近付いて両肩に手を置いた。
「なにかあったらすぐに言うんだよ」
「え? は、はい」
「大切にするよ?」
「それは当然! でも、僕はリザの『お兄様』だからね」
パチンとウインクするアル兄様に、なんだか心が温かくなった気がした。
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