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4章

4章56話(356話)

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「久しぶり、ふたりとも。聞いたよ、大活躍だったんだって?」
「お久しぶりです、ソフィアさん。大活躍……だったかはわかりませんけれど、なんとかカナリーン王国の人々を救えたと思います」

 ソフィアさんはクリフ様とヴィニー殿下と一緒の馬車に乗って、アンダーソン邸まで来てくれた。マリアお母様と出迎えると、馬車から降りて私を見るなり、駆け寄って肩に手を置き、にこにことした笑顔でそう言った。

「……うん。わたしが言うのはおかしいことだと思うけど、誕生と滅亡を見たわたしからも、お礼を言わせて。あの国の人たちを救ってくれてありがとう。――がんばったね」
「……ソフィアさん……」

 ソフィアさんはソフィアさんで、きっといろいろと複雑な気持ちがあったのだと思う。……私はそっと、ソフィアさんの服に手を伸ばして、きゅっと握る。

「……カナリーン王国の人々を助けるために、精霊たちの魔力を使い切ってしまったんです。――精霊たちは、無事でしょうか……?」

 恐る恐る、聞いてみる。ソル、ルーナ、そしてヴィニー殿下と契約したシェイドは、今……どうしているのだろう? 不安に駆られながらも、ソフィアさんに尋ねると、ソフィアさんは「大丈夫よ」と力強い笑みを返してくれた。

「精霊は自然と一体だもの。たとえ、ソルとルーナが月の女神に創られた存在だとしても、その名の通り、ソルには太陽、ルーナには月の魔力が宿っているのよ。太陽と月、そして影が消えたことがあったかしら?」

 ふるふると首を横に振る。

「精霊たちの魔力を使い切ったってことは、形を保てなくなったのね。精霊界に居るだろうし、あの世界は魔力が濃いから、きっと姿を見せてくれるわよ」
「……はい!」
「ソフィアさん、今日は無理を言ってしまって申し訳ありません。エリザベスと、ヴィンセント殿下をよろしくお願いいたします」
「任せて、マリア。それじゃあ、ふたりを精霊界に連れていくわね」

 マリアお母様が頭を下げる。馬車に乗ったままのヴィニー殿下が、私に向かい小さく手を振るのが見えた。

「クリフはこのまま置いていくから」
「一緒ではないのですか?」
「うん。だって、精霊界に行くのはあなたと彼だけでしょ?」

 こくりとうなずく。ソフィアさんは馬車に戻るとなにかを話して、クリフ様が降りてきた。私に近付き、「行っておいで」と優しく声を掛ける。

「お母様、ひいおじい様、行ってきます!」

 軽く頭を下げてから、馬車に向かって走り出す。馬車の扉が開いて、ヴィニー殿下が私へ手を差し伸べてくれた。

 その手を取って馬車に乗り込む。ソフィアさんとヴィニー殿下、そして私の三人で精霊界に向かうことになった。

「今日は前とは別の場所から行こうね」

 隣に座っているソフィアさんを見上げる。
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