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3章
3章51話(261話)
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買い物を済ませて、私たちは街の中を歩いた。次のステージの時間まで、まだ少しあるから。
「ジェリーは、どんな刺繍をするの?」
「そうですね……、花の刺繍にしようと思います。お母様の好きな花は、何度も練習しているので……」
楽しそうに声を弾ませるジェリーに、私はディアとジーンに手を伸ばして彼女たちの服の袖を引っ張った。
くん、と引かれて「どうしたの?」と目を丸くする二人に、私はひそひそとあることを提案し、反応を待った。
ディアとジーンは顔を見合わせて、それからうなずいた。
「もちろん良いわよ」
「ありがとう、早速伝えるわね」
満面の笑みを浮かべると、彼女たちはジェリーの名を呼んだ。
ジェリーは「はい?」と私たちに振り返る。
「ねえ、ジェリー。もしよかったら……」
私の提案に、ジェリーは目を大きく見開いてそれから大きく首を縦に動かした。
「ありがとうございます。お母様にバレないで済みそうです」
えへへ、と頬を掻くジェリーに、昔のジュリーの姿が重なった。三歳の誕生日までは、こんな風に笑っていたのよね……。
「……それじゃあ、少し甘いものでも買って小腹を満たしましょうか」
「賛成!」
私たちは屋台で甘いものを買って、近くのベンチに座っていろいろな話をしながら食べた。
そして、控室に戻ると、ジェリーを椅子に座らせた。
「ここなら、誰にも邪魔されずに刺繍が出来ると思うの」
「ありがとうございます、リザお姉様」
ジェリーはすっと先程買ったリボンと刺繍糸を取り出した。刺繍に必要な道具は、念のためにということで控室に揃えられている。
それを使って、ジェリーはワクワクとした表情で刺繍糸を針に通した。
そして――……、あまりにも素早い動きで、私とディアは思わず「す、すごい……!」と目を見開いた。
「わ、わたくしには無理ですわ……」
「……私も、無理よ、ディア……」
ジェリーの手の動きを真似できる人はいるのかしら……? それとも、慣れている刺繍だから早いのかしら……?
……いえ、私、慣れた刺繍でもこんなに素早くできる自信、ないわ……。
「さ、ジェリーが刺繍をしている間に、私たちは着替えましょう」
「え、ええ」
ジェリーの手の動きを追っていたら、ぽんと背中を叩かれた。
ジーンに顔を向けると、にこりと微笑んでそう言った。
私たちは次のステージの衣装に着替えて、控室で軽いストレッチをした。その間にもジェリーは黙々と手を動かしていた。
ちなみになぜ念のために置かれていたかというと、次のステージまでの時間つぶしに良いだろうという理由だったりもする。……控室から出て建国祭を楽しむもよし、控室に残って刺繍や他の趣味のことをするもよし、という理由らしい。
「ジェリーは、どんな刺繍をするの?」
「そうですね……、花の刺繍にしようと思います。お母様の好きな花は、何度も練習しているので……」
楽しそうに声を弾ませるジェリーに、私はディアとジーンに手を伸ばして彼女たちの服の袖を引っ張った。
くん、と引かれて「どうしたの?」と目を丸くする二人に、私はひそひそとあることを提案し、反応を待った。
ディアとジーンは顔を見合わせて、それからうなずいた。
「もちろん良いわよ」
「ありがとう、早速伝えるわね」
満面の笑みを浮かべると、彼女たちはジェリーの名を呼んだ。
ジェリーは「はい?」と私たちに振り返る。
「ねえ、ジェリー。もしよかったら……」
私の提案に、ジェリーは目を大きく見開いてそれから大きく首を縦に動かした。
「ありがとうございます。お母様にバレないで済みそうです」
えへへ、と頬を掻くジェリーに、昔のジュリーの姿が重なった。三歳の誕生日までは、こんな風に笑っていたのよね……。
「……それじゃあ、少し甘いものでも買って小腹を満たしましょうか」
「賛成!」
私たちは屋台で甘いものを買って、近くのベンチに座っていろいろな話をしながら食べた。
そして、控室に戻ると、ジェリーを椅子に座らせた。
「ここなら、誰にも邪魔されずに刺繍が出来ると思うの」
「ありがとうございます、リザお姉様」
ジェリーはすっと先程買ったリボンと刺繍糸を取り出した。刺繍に必要な道具は、念のためにということで控室に揃えられている。
それを使って、ジェリーはワクワクとした表情で刺繍糸を針に通した。
そして――……、あまりにも素早い動きで、私とディアは思わず「す、すごい……!」と目を見開いた。
「わ、わたくしには無理ですわ……」
「……私も、無理よ、ディア……」
ジェリーの手の動きを真似できる人はいるのかしら……? それとも、慣れている刺繍だから早いのかしら……?
……いえ、私、慣れた刺繍でもこんなに素早くできる自信、ないわ……。
「さ、ジェリーが刺繍をしている間に、私たちは着替えましょう」
「え、ええ」
ジェリーの手の動きを追っていたら、ぽんと背中を叩かれた。
ジーンに顔を向けると、にこりと微笑んでそう言った。
私たちは次のステージの衣装に着替えて、控室で軽いストレッチをした。その間にもジェリーは黙々と手を動かしていた。
ちなみになぜ念のために置かれていたかというと、次のステージまでの時間つぶしに良いだろうという理由だったりもする。……控室から出て建国祭を楽しむもよし、控室に残って刺繍や他の趣味のことをするもよし、という理由らしい。
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