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3章

3章46話(256話)

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「それじゃあ、まずはリボンを買いに行きましょうか」

 ディアが頬の近くで両手を重ねた。そして辺りを見渡して、「どこから見ましょうか」と楽しそうに声を弾ませた。

「そうねえ、ここら辺なら……。あそこかしら」

 ジーンがうーん、と悩むように顎に人差し指を当てて上を向き、それから思い出したようにお店を指差す。

「……ジーンって、王都のお店を全て把握しているの?」
「すべては無理よ。私が知っているのは、自分の目で確かめた場所だけだもの」

 ……かなりの数を歩いているんだろうなぁ、多分。
 アカデミーの休日、ジーンは高確率で王都へ行っていたから……。

「それじゃあ、まずはあのお店に行ってみましょうか」
「はい!」

 ジェリーが元気よく返事をして、私の手を引いて走り出す。
 ジーンとディアも私たちの後に続くように走り出す。
 私たちのことに気付いて、軽く手を振ってくれる子どもたちもいた。その子たちに手を振り返したり、微笑みかけたりしていたら他の人たちも私たちに気付いたみたい。

「いらっしゃいませ」

 お店の中に入ると、すぐに声が掛けられた。

「わぁ……」

 そこには色とりどりのリボンと、刺繍糸が綺麗に並べられていた。

「こんなにたくさん……、迷ってしまいますわね」

 きょろきょろと辺りを見渡して、ディアが呟いた。

「すみません、銀色のリボンはありますか?」

 ジェリーがそう尋ねると、店員は「はい、ございますよ」と案内してくれた。
 銀、と一言で言ってもかなりの種類だ。
 中でも目を引いたのは、光に当たるとキラキラと光る銀のリボンだ。
 ジェリーもそれが目を引いたようで、じっと見つめている。触れようと手を伸ばしたジェリーに、「お気に召しましたか?」と声が掛かった。

「は、はい。キラキラしていて……」
「最近人気なんですよ。陽の光を浴びると、様々な色を見せてくれる魔法糸で作られているんです」

 魔法糸……。ではこれは、普通のリボンよりも丈夫なのかしら?
 思わずマジマジとそのリボンを見つめた。

「……エリザベス?」
「あ、ううん。すごく綺麗だなぁって。……あの、魔法糸ってなんですか……?」

 あまり聞き覚えのない『魔法糸』のことを聞いてみると、説明をしてくれた。

「最近流行っているんですよ。糸に魔法をかけて、いろいろな効果を得るようにしている方法。こちらは銀色だけでも綺麗ですが、もっと綺麗に見せるために光に当たると様々な色が見えるように魔法糸で作られています」

 確かにこの銀色だけでも綺麗だけど、光に当たるとまるで宝石のようにキラキラと様々な色を見せている。

「ええと、では、このリボンをください。そして、このリボンに負けないくらいの金色の刺繍糸はありますか?」
「はい、少々お待ちください」

 そう言って店員は金色の刺繍糸を数個並べた。
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