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3章

3章42話(252話)

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「……ふふ、ありがとう。でもね、わたくしが頑張れるのはリザたちが居るからよ」

 柔らかく表情を緩ませるディアに、「私たち?」と聞き返した。
 小さく首を縦に動かして、ディアはベッドに座る。

「最初にこの国に来た時は、新生活への期待よりも不安のほうが大きかったの。だから、リザたちと知りあって友人になれて……、この地で基盤を築いていって……、気が付いたら、こうなっていたという感じ。これが数ヶ月の出来事なのだから、すごいわよね」

 口元に手を添えてくすりと笑い声を上げるディア。

「あなたたちのおかげで、わたくしはここに居ても良いんだって思えるの」

 胸元で手を組んで、目を閉じて微笑むディア。私とジーンは顔を見合わせた。そして、互いに照れたように頬を赤らめた。

「この国に来てよかった。わたくし、本当にそう思っていますわ」

 ディアがそう言って目を開けて、私たちをじっと見た。私たちはがばっとディアに抱き着く。
 ディアが「きゃあ」と楽しそうな悲鳴を上げて、ベッドに倒れ込んだ。
 三人で笑い合い、私はベッドから起き上がり、「それじゃあ、私もお風呂に入って来るね」というと、「ゆっくり入って、疲れを取るのよ」とジーンが言葉を続ける。

「うん、そうさせてもらう」

 浴室へ向かい服を脱いでお風呂に入る。髪や身体を洗い、お風呂に入ってゆっくりと息を吐く。
 じわじわと温かくなる感覚に、目を閉じた。

「明日で四日目、……あと三日で終わっちゃうのね」

 舞姫として、最後までステージに立てたら良いなと思う。
 今日あった出来事を思い出しながら、アル兄様とヴィニー殿下の連携魔法はやはりすごいな、と思ったし、国の人たちを笑顔にするハンフリーさんも、きっとたくさん努力してきたのだろう。
 ……私のことを『めーちゃん』と呼ぶのは、やめてもらえるように今度話そう。
 ……会えば、の話だけれど……。

「はぁ~……」

 ゆっくりと息を吐いて、すっと目を開けて天井を見上げる。
 数回深呼吸を繰り返して、ぐーっと背伸びをした。
 大分身体が温まったので、湯船の中でマッサージ。労わるように足を揉んだり、腕を揉んだり。
 明日はどんな一日になるのだろう?
 建国祭はこのまま、何事もなく終わってくれたら一番良いのだけど……。
 だけど、なぜか……心の奥がざわついている気がして、私はぶんぶんと首を横に振った。
 ……だいじょうぶ。
 お母様たちも、ヴィニー殿下も建国祭に関わっているのだから。
 私は漠然とした不安を拭うように、頬を両手で叩いた。
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