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3章

3章38話(248話)

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 再び滲んできた涙を拭きとるディアに、私たちはもう一度ぎゅっと彼女を抱きしめた。

「……本当は、怖かったの。おばあさまからの手紙を読んで、会いたくなったらどうしようって――……」

 大切そうにそっと手紙を撫でるディアに私たちは小さくうなずいた。

「……読んで、どうだった?」
「……会いたくなったわ。そして、それ以上に、あなたたちとおばあ様を会わせたいなって思ったわ」

 泣き止んだディアは、顔を上げて私たちを愛しそうに見た。私たちは堪らなくなって、またディアを強く抱きしめた。ディアが「ちょっと苦しいわ」と言い出すまで、ずっと。

「……私も会ってみたいわ、ディアのおばあ様に。きっととても良い人だったんでしょうね」

 抱きしめていた力を緩めて、代わりにディアの頭を撫でるジーンと、こくこくと何度もうなずく私。

「私もよ。ディアのおばあ様に、お会いして、感謝の言葉を伝えたいわ」

 私はディアから腕を離して、自分の胸元で両手を組んで微笑む。ディアをこんなに素敵な女性に育てた人ですもの。きっと、とても素敵な方なのだと思う。

「……ふふ、わたくしは、この地で良い友人に恵まれましたっておばあ様に伝えたいわ」

 そう言ってディアは口元を緩めた。そして、大事そうに手紙をしまい、それからシー兄様に渡されたブローチの存在を思い出したのか、ブローチを取り出した。

「……まぁ、これはポードレッタイトね。かなり希少な宝石よ」
「ポードレッタイト?」
「ええ。あ、そうか……。ディアのストロベリーブロンドに合わせて宝石を選んだのね。とても似合っているわ」

 ジーンがじっとそのブローチを見てしみじみと言葉を呟く。希少な宝石を魔道具にしたってことかしら……。シー兄様、ディアのことが気になっているのかもしれないわね……。

「そ、そんな、こんな希少なもの、わたくしが持っているわけには……!」
「いいえ、ディア。もらってあげて。シー兄様、きっとこれを見つけるの苦労したと思うから……」

 ……以前、アミュレットを作る時にかなり宝石を買ったけれど、この宝石を見たことがなかった。

「それに、このポードレッタイトって、ガラス並の強度だから観賞用が主なのよね……。それを魔道具にするなんて……、見事な腕前ね……」
「壊れやすいってことよね……? こ、壊してしまったらどうしましょう」

 ハラハラとしたようにディアが私たちとブローチを交互に見た。

「大切に扱いなさいな」
「え、ええ……」

 心配そうにブローチを見つめるディアに、私とジーンは小さく微笑んだ。

「ソル、ルーナ。このブローチの強度を高めることって出来ないかしら?」

 ――精霊たちにそう尋ねると、ソルとルーナがぴょこりと頭を出した。
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