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3章
3章25話(235話)
しおりを挟むソルとルーナが参加したダンスは好評だった。……とは言え、ソルもルーナも私たちの近くで飛んだり跳ねたりしているだけなのだけど、精霊たちが使う魔法がとても綺麗で、私たちも思わず見惚れてしまうほどだった。もちろん、動きを止めることはないけれど。私たちが手を繋いでお辞儀をして控室に戻ると、観客たちからの歓声が聞こえた。私たちが顔を見合わせてハイタッチをすると、ソルとルーナも参加した。
昼のステージも、夜のステージも無事に終わった。ソルとルーナはずっと出て来てくれていた。
「大丈夫? 疲れていない?」
「平気! エリザベスたちのほうこそ、疲れていない?」
「数分のダンスとはいえ、毎日だからな……」
私はジーンとディアに視線を向ける。そして、ソルとルーナに手を伸ばした。そっと撫でて、「ありがとう」を口にすると、キョトンとした表情を浮かべるのが愛らしかった。
「建国祭のためにがんばって来たのですもの。大丈夫ですわよ」
「そうよ。終わったらそのまま長期休暇に入るしね」
「……え、そうなの?」
建国祭が終わったら再びアカデミーに戻ると考えていたから、ジーンの言葉に驚いた。ジーンとディアは、私の言葉に驚いたように目を丸くしていた。
「やだ、聞いていなかったの?」
「ダンスのことで頭がいっぱいで、覚えていなかったのかも……?」
「今年は建国祭が長いから、長期休暇も早めたみたいよ」
「……自由ね」
「まぁね」
そんな話をしていると、控室の扉がノックされた。誰かしら、と返事をするとシー兄様の声が聞こえた。
「少々お待ちください、まだ着替えていないので……」
「ああ、わかった。焦らなくても良いからな?」
シー兄様の返事に、私たちは急いで着替えた。そして、髪の毛を整えたり、落ちた化粧を直して鏡を見てから三人で確認し、それから私が扉を開けた。
「どうしましたか?」
「舞姫たち、これから時間は空いているかい?」
扉を開いてまず最初に視界に飛び込んできたのはシー兄様で、それに続くようにアル兄様とヴィニー殿下の姿も確認できた。
「みんな、来てくれたの?」
「リザたちが踊っているんだ。もちろん毎ステージ見に来ているよ」
アル兄様がそう言ってウインクをひとつ。私は口元を手で隠すようにして小さく笑い、
「ありがとうございます」と頭を下げた。
「そんな舞姫たちと、一緒に祭りを見て回りたいと思ってね。今度こそ、みんなで」
ヴィニー殿下が私たちを見て手を差し伸べて来た。アル兄様とシー兄様も同じように手を差し伸べる。私たちはそれぞれ顔を見合わせて、そっとその手に自分の手を重ねた。
そして、私たちは再び六人で夜のお祭りへと向かった。
三日目ともなれば、大体の人たちが私たちのことを知っているようで、「舞姫たちだ!」とこちらを見て手を振る子どもたちもいた。
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