そんなに嫌いなら、私は消えることを選びます。

秋月一花

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3章

3章11話(211話)

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 昼のステージではジーンがセンターだった。グレン先生の故郷である国の民族衣装を知り、着てみたい、ジーンが行ったのでデザイナーに頼んで作ってもらったのだ。もちろん、グレン先生も交えて。昼のステージはどちらかと言えばしっとりとしたダンスで、艶やかなイメージ。ジーンの大人っぽい雰囲気に良くマッチしていると思う。
 そして、夜では私がセンターだったから、ひらひらとした布で自信を大きく見せる衣装にした。……私の身長は少しだけ高くなったけれど、やっぱりジーンとディアに比べると低いから……。
 そして、夜のステージではライトアップされていて、そのライトはなんと魔塔の人たちが魔法で出した目にも優しく、幻想的に見せてくれる淡い光だった。ヴィニー殿下が頼んでくれたのかな? だからあんな風に笑ったのかしら? と考えながら、ダンスをした。ひらりと布が揺れるのと、淡い光が相まって、幻想の世界で踊っているように感じた。
 本日のステージがすべて終わり、控室に入り魔法を使って汗を流した。さっぱりしてから着替えると、扉がノックされる音が聞こえた。

「ジェリーです」
「入って、ジェリー」

「お邪魔します。えっと、ジーン様、ディア様、リザお姉様、お疲れ様でした!」
 扉を開けて入って来たのはジェリーだ。警備の人には昼のステージ前に伝えていた。警備も交代制だろうから、きちんと伝えてくれたみたい。

「これから旅芸人のステージを観に行こうと思うのだけど、良かったら一緒に行かない?」

 ジーンとディアを誘うと、彼女たちは目を輝かせて「良いの?」と聞いて来たので、ジェリーと声を合わせて「もちろん!」と口にした。
 その後、ヴィニー殿下がアル兄様とシー兄様も連れて来たので、みんなでその旅芸人のステージまで行くことになった。
 ここからあまり遠くない場所でやっているみたいで、シェイドが探し当ててくれたみたい。シェイドに「ありがとう」と伝えると、照れたように隠れてしまった。

「シェイドは本当にシャイなんだから」

 と、ヴィニー殿下が肩をすくめていたのが少し、面白かった。
 旅芸人のステージは、とても盛り上がっていた。私たちは、先客の邪魔にならないように端の方へと向かう。そこで立ったまま見ることにしたのだ。

「すごい熱気ね……」
「本当、でもなんだか楽しそう」
「あんなにボールを持っているのに、どうして一個も落とさないのかしら……?」

 私たちが入った頃には、ステージの真ん中に人が立っていて、その横でしゃがんだ人が居て、ボールを次々と高く放ってはボールをキャッチし、くるくると器用にボールを回していた。その後、次々追加されるボールに対して嫌気が差したかのようにステージ上を歩いていたけれど、ボールを操っている人が上手なのか、ボールをパスする人が上手なのか、またボールが増えていく。最後にはもう無理! とばかりにたかーく放って、華麗に落ちて来るボールを避けていたけれど、最後の一個が頭に当たってころんと落ちた。
 ボールに視線を向けた後、頭を撫でて、「これかぁ!」とばかりに大きくうなずき、ぽんと手を叩くところで、拍手と笑いに包まれた。
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