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3章
3章2話(212話)
しおりを挟む音楽に合わせて身体を動かす。それぞれのソロパートはセンターの時のみだから、今はジーンとのステップをシンクロさせることに集中させる。私とジーンが同じステップを踏んでいる時、ディアはひとりだけ違うステップだ。タンタン、と踵を鳴らして水の魔法を使う。ディアの手のひらから、様々な動物を模した水がディアのステップと同時に踊り出す。
私はディアに魔力を送り、ジーンは風魔法でディアの作り上げた水の動物たちの一部をステージ下に居る人たちに見せた。
太陽の光に反射して、きらりと輝く。
ディアが大きくジャンプをして、クルクルと回転して、スタッと着地をした。それと同時に音楽が終わり、ぱしゃん、とディアの作り上げた動物たちも水へと還った。
「ありがとうございました!」
立ち上がり、三人で手を繋いでから大きな声でそう言って頭を下げる。拍手と声援が大きくなり、朝のステージが成功したことを感じた。私たちがステージから去り、代わりに別の人たちがステージへと向かう。
「とりあえず、ダンスは成功したみたいね」
「……緊張したわ……」
「まだドキドキしてる……」
そんなことを口にしながら、控室に向かう。ここには、衣装がずらりと並んでいた。昼のステージではジーンがセンターだ。私は夜のステージでセンターになる。それぞれの衣装に合うようにアクセサリーやダンスも多少変えている。……まぁ、アクセサリー関係はほぼジーンが用意したのだけど……。
着替え終わり、昼のステージまでの自由時間をどうしようかと話していると、控えめなノックの音が聞こえたので「どうぞ」と声を掛けると勢いよく扉が開いて、アル兄様たちが私たちのところに来てくれた。
「朝のステージご苦労様、とても綺麗だったよ、舞姫たち」
アル兄様たちに続いて、ヴィニー殿下やシー兄様、お母様たちも来てくださった。
「あ、ありがとうございます……!」
褒められて嬉しくなった。それは私だけじゃないみたい。ジーンもディアも同じだったようで、照れたようにはにかんでいた。
アル兄様たちの手に、一輪の花が握られていることに気付いて、視線を向けるとアル兄様がその視線に気付いて、パチンとウインクをした。
そして、ジーンの元に足を進めると、そっとその花を差し出した。紫色のバラだ。棘が抜かれているみたい。
「私に……?」
驚いたように目を大きく見開くジーンに、アル兄様がうなずいた。ジーンはそのバラを受け取って、「ありがとうございます」とアル兄様に笑顔を見せた。
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