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2章:新たな知識
再会。 5話
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「えっと、『避難所の人たちを頼む。落ち着いたら自室にきてほしい』とのことです」
「ああ、そうですね。今後のこともありますし……」
きっと今後のことをみんなで話し合うのだろう。燗流は眉を下げて微笑みを浮かべ、朱亞の肩に手を置いた。彼女を労わるように優しいまなざしを注ぐ。
「朱亞さんは休んでください。今日はいろいろと大変だったのでしょう?」
「え?」
「走り回っている姿、見えていましたよ」
そこで朱亞ははっと気付いた。今日はばたばたと走り回っていた日だったことを。
陽紗に手を掴まれ二回ほど走り、畢方を視て走り――……。畢方の一件が片付き、ようやく身体を休めることができるのだと考えると、なんだか一気に疲労感が増した気がする。
「ほっほっほ、朱亞よ、そんなに忙しない日だったのか?」
「紫釉さん!」
背後から声をかけられた朱亞はびくっと肩を跳ね上げる。だが、すぐに聞き覚えのある声だと気付き、後ろを振り返ると長い髭を撫でている紫釉が視界に入った。
「この子と話してもいいかい?」
「もちろんです。では、ぼくはこれで……」
燗流は二人に頭を下げて避難所の人たちのもとに歩いていく。その姿を見送り、朱亞と紫釉は避難所から出て、少し離れた場所で話をする。
「……紫釉さんが帝都にいて、驚きました」
「じゃろうなぁ。それにしても、帝都は面白いものがたくさんあるな」
「はい。目に見えるものすべてが新鮮です」
村にいたときは周りが山だったので、山菜や薬草は教えてもらっていた。だが、きらびやかなものはあまりなく、宝石店で見たものはとても珍しく思えたことを紫釉に伝えると彼は「そうか、そうか」と相槌を打った。
「旅はとても楽しいものだったようだな?」
「うん。とっても! あ、今ね、私、後宮で侍女として働いているの」
「朱亞が侍女? ……その恰好でか?」
「これはちょっと……事情があって」
自分が宦官の服を着ていることに気付いて、朱亞は両手を軽く振る。畢方のことを飛龍に伝えるためには、このほうが手っ取り早いと思ったので後悔はしていない。だが、紫釉と会うのなら、あの侍女の格好も見てもらいたかったと考え、それが不可能なことにも気付いた。
後宮に入れるのは皇帝である飛龍と、宦官だけだからだ。
「元気で暮らしているようで良かったよ」
「紫釉さんも。いつからいたの?」
「数日前からかの、あの場所にお世話になっていたのは。風邪をこじらせた子がいてなぁ、その子のために必要なものを集めていたんじゃ」
「ああ、そうですね。今後のこともありますし……」
きっと今後のことをみんなで話し合うのだろう。燗流は眉を下げて微笑みを浮かべ、朱亞の肩に手を置いた。彼女を労わるように優しいまなざしを注ぐ。
「朱亞さんは休んでください。今日はいろいろと大変だったのでしょう?」
「え?」
「走り回っている姿、見えていましたよ」
そこで朱亞ははっと気付いた。今日はばたばたと走り回っていた日だったことを。
陽紗に手を掴まれ二回ほど走り、畢方を視て走り――……。畢方の一件が片付き、ようやく身体を休めることができるのだと考えると、なんだか一気に疲労感が増した気がする。
「ほっほっほ、朱亞よ、そんなに忙しない日だったのか?」
「紫釉さん!」
背後から声をかけられた朱亞はびくっと肩を跳ね上げる。だが、すぐに聞き覚えのある声だと気付き、後ろを振り返ると長い髭を撫でている紫釉が視界に入った。
「この子と話してもいいかい?」
「もちろんです。では、ぼくはこれで……」
燗流は二人に頭を下げて避難所の人たちのもとに歩いていく。その姿を見送り、朱亞と紫釉は避難所から出て、少し離れた場所で話をする。
「……紫釉さんが帝都にいて、驚きました」
「じゃろうなぁ。それにしても、帝都は面白いものがたくさんあるな」
「はい。目に見えるものすべてが新鮮です」
村にいたときは周りが山だったので、山菜や薬草は教えてもらっていた。だが、きらびやかなものはあまりなく、宝石店で見たものはとても珍しく思えたことを紫釉に伝えると彼は「そうか、そうか」と相槌を打った。
「旅はとても楽しいものだったようだな?」
「うん。とっても! あ、今ね、私、後宮で侍女として働いているの」
「朱亞が侍女? ……その恰好でか?」
「これはちょっと……事情があって」
自分が宦官の服を着ていることに気付いて、朱亞は両手を軽く振る。畢方のことを飛龍に伝えるためには、このほうが手っ取り早いと思ったので後悔はしていない。だが、紫釉と会うのなら、あの侍女の格好も見てもらいたかったと考え、それが不可能なことにも気付いた。
後宮に入れるのは皇帝である飛龍と、宦官だけだからだ。
「元気で暮らしているようで良かったよ」
「紫釉さんも。いつからいたの?」
「数日前からかの、あの場所にお世話になっていたのは。風邪をこじらせた子がいてなぁ、その子のために必要なものを集めていたんじゃ」
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