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そして始まる、私たちの物語! 6-1
しおりを挟む「レオンハルトさま」
「はい、なんでしょうか」
「――私たち、一歩ずつ夫婦になっていきましょう?」
だってこれが――きっと、私たちの『初恋』だから。
その恋心を、大切にしたい。そう思って言葉を紡ぐと、レオンハルトさまは目を見開いて、それから柔らかく微笑んだ。
「そうですね。一歩ずつ、一緒に歩いていきましょう」
――ああ、やっぱり私、好きなんだわ。レオンハルトさまのことが。
教会から出て、再びフォルクヴァルツに向かうために馬車に乗り込む。
レオンハルトさまと視線が合って、互いににこりと微笑んだ。
きっと、大丈夫。レオンハルトさまと一緒なら、私は私の物語を歩んでいける気がするわ。
ううん、私だけの物語じゃない。レオンハルトさまも一緒の物語。
フォルクヴァルツについて――いいえ、きっとつく前から始まっているんだわ。
私たちの物語が、きっともう、始まっている。
「――レオンハルトさま」
「はい、エリカ嬢」
「あなたと出逢えて、恋を知りました。――私を選んでくださって、ありがとうございます」
胸元に手を置いて、レオンハルトさまに伝えたいことを口にすると、彼は一瞬目を瞬かせてから、言葉を発した。
「オレのほうこそ、ありがとうございます。人を好きになることが、こんなにも幸せを感じることが出来ると教えてくれたのは、エリカ嬢です」
そう言ってはにかむ姿も可愛く見えて、恋は盲目とはこういうことなのかしら……? なんて考えた。
これから先、どんなことがあってもレオンハルトさまを愛し続ける自信がある。
新しい生活については、不安よりも期待のほうが勝っていた。だからこそ、胸の中に溢れる想いをレオンハルトさまに伝えておこう。
隣に座っているレオンハルトさまの服をクイッと引っ張ると、彼が「どうしました?」と首を傾げる。
私はそっと顔を近付けて、彼の唇に自分の唇を押し当てた。私からの、最初のキス。レオンハルトさまは驚いたように身体を硬直させたけれど、すぐに私のことを抱きしめてくれた。
想い合って、触れ合って、好きという気持ちがどんどんと積み重なっていく。
「――愛しています、レオンハルトさま」
「あなたを愛しています、エリカ嬢」
唇を離してレオンハルトさまを真っ直ぐに見つめて、溢れそうな想いを伝えると、レオンハルトさまも伝えてくれた。
私、本当に幸せだわ。レオンハルトさまも同じくらい……ううん、それ以上幸せになってもらいたい。そう思いながら、もう一度唇を重ねた。触れた体温から溶けてしまいそうな感覚に、ぎゅっと彼の服を握った。
すると、レオンハルトさまが角度を変えて何度もキスをした。息苦しさを感じて、掴んでいた服を離して、彼の背中を叩くと……ハッと我に返ったレオンハルトさまに「すみません」と謝罪された。
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