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そして始まる、私たちの物語! 5-2
しおりを挟むレオンハルトさまと一緒に赤い絨毯の上を歩いていく。なんだか、結婚式みたい! と内心ドキドキしながらちらりとレオンハルトさまを見ると、私の視線に気付いたのか、彼がこちらを見た。しかも、すっごく優しい笑みを浮かべて!
それだけで鼓動はさらに早鐘を奏でる。講壇の前まで行き、足を止めると手を離して私へと身体を向ける。私も同じようにレオンハルトさまに身体を向けると、レオンハルトさまが口を開いた。
「予行練習を、しませんか?」
「……えっ?」
予行練習、とは……? と目を見開くと、レオンハルトさまは悪戯っぽく笑い、そっと私の頬に触れた。
こ、これは、まさかの……? 結婚式の予行練習ということ!? どんどんと顔に熱が集まっていくのがわかる。どうしよう、今の私、一体どんな表情をしているのかさっぱりわからない!
「イヤですか?」
「い、いいえっ、イヤなわけがありません!」
食い気味に否定すると、レオンハルトさまが目元を細めた。その瞳が『愛しさ』を隠していなくて、ドキッとした。
「――わたし、レオンハルト・フォルクヴァルツは、生涯エリカ・レームクールを愛し、守り抜くことを誓います」
そんな瞳で、そんな甘い声で、誓いの言葉を口にするレオンハルトさまに、私の心が震えた。――愛されていることを、実感する。
「――私、エリカ・レームクールは生涯レオンハルト・フォルクヴァルツを愛し、どんなときも寄り添うことを、誓います」
――ああ、どうしよう。予行練習なのに、涙声になっているわ。これが本当の結婚式だったら、感極まって言葉にならないんじゃないかしら?
そんなことを考えていると、レオンハルトさまの顔が近付いて来る。顔を上げて目を閉じると、ふにっと柔らかい感触が。一瞬で離れてしまうその感触に、ほんの少しの寂しさを覚えたのと同時に、それが無性に恥ずかしくなる。私は乙女か! と。……いや、乙女であることに間違いはないんだけど……!
好きな人を前にすると、みんなこんな風になるのかなぁ? なんて考えていると、もう一度唇が重なった。驚いて目を開けると、レオンハルトさまの目が細くなった。……み、見られていた……!?
キスを待っている顔を!?
唇が離れると、レオンハルトさまが私の手を取り、手の甲にも唇を落した。
「れ、レオンハルト、さま……?」
「――これからたくさん、キスをしましょうね」
「えっ?」
ど、どうしてそうなるの? いや、もちろんイヤじゃない、イヤじゃないけれど……、私の心臓、持つ!? と半ばパニックになりながらも、嬉しさのほうが勝っているから首を縦に動かした。
「たくさんキスをして、慣れましょう。……慣れるくらいすれば、きっと結婚式当日も大丈夫なはず」
「……そ、うですね……?」
うん? その言い方だと、レオンハルトさまのほうが慣れたいってことなのかしら……? と彼をじぃっと見つめると、耳まで真っ赤になっていることに気付いた。
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