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そして始まる、私たちの物語! 4-2
しおりを挟むアデーレは一貫して、『私』を見ていなかったということなのか、それとも、憎しみのフィルター越しに見ていたから、こんなことになったのか。……理解したいとも思わないから、解答は要らないわね。
「そして、ダニエル殿下のプレゼントの中には、……宝物庫のものがあったようで、それを見逃すことはできない、とこんな騒ぎに」
「……宝物庫のものにまで……」
宝物庫っていろんな国からいただいたものやら、献上されたものやらで溢れていたはず。ダニエル殿下が自慢げに話していたことを覚えている。自分が国王になれば好きに使っていいのだから、あれは自分のものなのだと。
あの宝物庫にあるものって、曰く付きのものも多いから気をつけないといけない、とデイジーさまから聞いたことがある。……もしかして、その曰く付きのなにかに本当に憑りつかれていたのでは……?
「どう決断されるかは国王陛下と王妃殿下にお任せになりますが……、エリカ嬢が望むのなら、どんな処罰にするのか伝えますよ?」
「陛下たちにお任せしますわ」
ダニエル殿下はアデーレに心底惚れていたのかもしれないけれど、今回のことでどう思うのかしら……? アデーレと一緒に居るときのダニエル殿下の顔を思い出して、ゆっくりと息を吐く。どの浮気相手とも違う顔をしていた。ああ、本気で好きなんだと傍から見ていてわかるくらい、彼女のことを愛しそうに見ていた。
考え込んでいると、レオンハルトさまが眉を下げて私のことを見ていたことに気付き、首を傾げる。
「あまり、面白い話ではないでしょう?」
「気遣っていただき、ありがとう存じます。ですが、私は平気ですわ。思うことがないわけではありませんが、私にはレオンハルトさまがいますもの」
そう、思うことがないわけではない。彼の婚約者になってから積み重ねた不満も多々あるが、プラスになったことも多々あるからね。マナーや教養を真剣に学べたことはプラスだと思う。
それに――やっぱり一番は、レオンハルトさまに出逢えたことが一番良いことだと感じているのよ。恋愛結婚なんて夢のまた夢と思っていた私に、『恋』を教えてくれた人。
「私は、レオンハルトさまをお慕いしておりますから、あなた以外を望みませんわ」
にっこりと微笑んでみせると、レオンハルトさまの顔が真っ赤に染まった。耳まで赤いのを見て、可愛いなって感じちゃう!
「エリカ嬢にそう想っていただけて、光栄です」
照れたように目を伏せるレオンハルトさまに、やっぱりこの人のこと好きだなぁとしみじみ思った。
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