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初デート! 2-2
しおりを挟む「ヘアオイル?」
「髪につけてスタイリングをすると、纏まりやすいんですよ。髪のダメージも防いでくれますし……」
「ああ、だからそんなに綺麗な髪なんですね」
納得したように呟いて、私の髪にそっと触れようとしたところで、動きを止めた。纏めてあるから、触れるのを躊躇したのかしら?
「触れても構いませんよ」
「ですが、こんなに綺麗に纏まっているのに、崩してしまうのでは、と」
帽子を被っているから、そんなに気にしなくてもいいと思うのだけど……。私はそっと帽子を取ってみた。レオンハルトさまがほんの少し、目を瞠った気がする。
「どうぞ、触れてみてください」
「……、では、お言葉に甘えて」
レオンハルトさまは私の前髪に触れてその感触を楽しむように指で梳いた。
「さらさらですね」
「でしょう?」
ふふ、と目を細めて微笑むと、レオンハルトさまは照れたように頬を赤く染め、前髪から手を離した。それにしても、近い、近いわ……! 距離が近くて鼓動が大きく聞こえる。この鼓動、レオンハルトさまの耳に届いてないよね!?
「もう少し歩きましょうか」
「はい」
手を繋いだまま歩き出す。どうやら中央の休憩スペースに向かっているようだ。
ダンスレッスンや淑女としての歩き方のレッスンのおかげで、それなりに体力はあるのよね。足は速くないけれど、持久力ならそこそこあると思う。
「中央に休憩スペースがあるのですね」
「そうみたいですね。休みますか?」
「いいえ、大丈夫です」
だって、一度座ったらレオンハルトさまの手を離さないと行けなくなりそうじゃない? 繋いだままでいたいのは私のワガママだけど、なんだか名残惜しいのよ。
「では、あちらのチューリップを見に行きませんか?」
レオンハルトさまはピンク色のチューリップを指さした。どうやら、場所ごとに色が違うみたい。さっきまで歩いていたところはいろんな色だったけど、周りを見渡すと色ごとに区別されたスペースが多い。
「はい、レオンハルトさま」
そう返事をすると、レオンハルトさまはホッとしたように息を吐いて、それからピンク色のチューリップのところまで歩き出す。不思議な感じ。ダニエル殿下と歩いているとき、こんなにときめいたことあった? って、思わず自分で自分に聞いちゃう。
だって、さっきからずっと、ドキドキしているんだもの。
これって初デートよね。初デートで間違いないわよね?
ピンク色に咲き誇るチューリップに近付いていき、ぴたりと足を止めるレオンハルトさま。どうしたのかしら? と首を傾げてレオンハルトさまを見上げると、彼はチューリップをじっと見つめた。
「……綺麗ですね」
「そうですね。……エリカ嬢」
真剣な表情を浮かべて、チューリップから私に視線を移す。その声は緊張しているのか、少し震えていた。あまりにも真剣な様子に、息を呑む。なにを口にするのかわからなくて、ただ彼の言葉を待った。
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