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お見合いで一目惚れ!? 5-1
しおりを挟む「もちろん、大切にします。そして、エリカ嬢も、オレのことを大切にしてくれたら嬉しいです」
素では『オレ』が一人称のようね。自分の一人称が戻っていることに気付いていないようだけど、なんだかそんなところも可愛く見えるわ。
「もちろんですわ。これから、よろしくお願いいたします、レオンハルトさま」
「こちらこそ、よろしくお願いします、エリカ嬢」
互いに頭を下げあって、顔を上げると視線が交わる。照れたように笑う彼の姿に、胸の奥がきゅんと高鳴るのを感じた。
「レオンハルトさま、我が家の温室に案内いたしますわ」
「温室、ですか?」
「はい。……私のお気に入りの場所ですの」
「それは、とても興味深いですね」
すくっと立ち上がり、一緒に温室に向かうことにした。温室には今、いろいろな花が咲いているから、見飽きないだろう。……でも、男性は花に興味なんてないかしら?
少し不安を抱きつつも、レオンハルトさまとともに温室へ歩いた。途中でメイドに温室にお茶とお茶菓子を持ってくるように頼むと、メイドは嬉しそうに「かしこまりました」と頭を下げて、意気揚々と厨房に向かう。
「レームクール伯爵家の使用人は、皆、親切な人ですね」
「そうですか?」
「はい。レームクール伯爵の人望なのでしょうか。オレの部下たちは、戦友のようなものなので、結構きついことを言ったり、態度で示すんですよ」
「まぁ……。そういえば、騎士団に所属していたと……。その頃からの付き合いなのですか?」
「ええ、騎士団は寮で、そこでいろいろ学びました。尊敬する師にも出会えましたし、あの頃のことは思い出すと……こう、ゾッとすることも多いのですが、得たもののほうが多いですね」
……ゾッとすることってなんだろう? 騎士団の人たちがゾッとすること……命の危機、かしら?
「尊敬する師とは、どのような方でしたか?」
「騎士の在り方を、その身で魅せてくれた方です」
騎士の在り方……それは、弱きを助け、強きを挫く。
武勇に優れ信義を貫き、寛容を持ち敬虔な態度をとり、礼儀を守る。それが騎士道と伝えられている。
「それは、とても素敵な方でしょうね」
「いつか、あの人のようになりたいと願ったほどです。残念ながら、師はもう騎士を引退して、田舎暮らしを充実させているようですが」
「そうでしたの……。それは、残念ですわ」
騎士道を貫き通した方を、一度見てみたかった。
「でしたら、いつか会いに行きましょう。師の暮らしている村の場所は存じておりますので」
「ふふ、それは楽しみですわね」
レオンハルトさまと一緒に旅かぁ。楽しそう。
彼とその村のことを話していると、あっという間に温室についた。温室の扉を開けて、中に入ると、ふわりといろいろな花の香りが鼻腔をくすぐる。
「……これは、すごい……」
「我がレームクール家が誇る温室ですのよ」
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