【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

秋月一花

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お見合いで一目惚れ!? 4-2

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 アデーレとの噂は学園中に流れていたし、彼女に出会わないように気をつけてはいたけれど、エンカウントするときもあった。

 そのたびに彼女はダニエル殿下の腕にぎゅっとしがみつき、ダニエル殿下は親の仇のように私を睨むという困ったことに。そんな状態だから、これは婚約破棄されるだろうなぁと思っていたのだ。心の準備ってしておいて正解よね。

「……あなたに逢うまでは、そう思っていました」
「エリカ嬢?」
「レオンハルトさま、どうしましょう。私――あなたに一目惚れをしたみたいです」

 頬に手を添えてぽっと頬を赤らめながらそう宣言すると、レオンハルトさまは大きく目を見開いた。

「え、えええっ!?」

 顔を真っ赤に染めるレオンハルトさまに、可愛いなぁなんて思ってしまった。あたふたと手をせわしなく動かす彼に思わず笑みを浮かべてしまう。

「あ、あの、エリカ嬢……!」
「はい、レオンハルトさま」

 にこにことレオンハルトさまを見ると、彼はきょろきょろと辺りを見渡して、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。落ち着きを取り戻したようだけど、耳まで真っ赤になっていて可愛い。……私、こんなに恋愛に積極的だったっけ? って思うくらい、彼に対して惹かれているのを自覚していた。

「それはその……、オレと結婚してくれると言うことでしょうか?!」

 おっとこっちも一足飛び!

 レオンハルトさま、真剣な表情だわ。だから、私も表情を引き締めてすっと右手の人差し指を立てた。

「ひとつ、約束をしてくださるのなら……」

 そう言ってはにかんでみせる。すると、レオンハルトさまは目を瞬かせて、「約束?」と首を傾げた。

「……浮気はしないでいただきたく……」
「……それは、人として当然のことでしょう」

 その人として当然のことを、ダニエル殿下は年に一回、コンスタントに破っていたわけなんだけどね……。

 もちろん、その相手全員に慰謝料を請求していたわけで、それなりの金額になったりもしたけれど。私が曖昧に微笑んでいると、私の元婚約者のことを思い浮かべたのだろう。なんとも言えない複雑そうな表情を浮かべていた。

「自分で言うのもなんですが、オレは人を大切にしたいと思っています。なので……」
「はい、私のことも大事にしてください」

 ――彼はとても誠実な人なのだろう。誠実な人だと信じたい。

 それにしても、こんなに格好良い人なのに、乙女ゲームの攻略キャラではなかったようだ。全クリした私が言うのだから間違いない。

 こんなに魅力的な人が結婚していないなんて、とても幸運だったわ。
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