【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

秋月一花

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お見合いで一目惚れ!? 3-2

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「数回あります」
「……どう思われました?」

 私の問いに、レオンハルトさまは口元に手を当てて考えるように黙り込んだ。そして、ぽつりと一言。

「自由な人」

 と。まぁ、確かにダニエル殿下は自由な人だったけれどね。王族としての責務は一応果たしていたとは思うけど、他が自由な人だった。たぶん、私のことを試していたんだと思う。

「そうですね、私もそう思います」

 肩をすくめてみせる私に、レオンハルトさまは首を傾げる。

「彼は、私のことを試していたのでしょう。どこまで許されるのか、結果的に年に一度の浮気を許していた私が愚かだったのでしょう」

 アデーレのことに関してもそうだ。ただ、あんな風に婚約破棄を口にするとは思わなかった。それだけアデーレに惚れていると言うことなのかな?

 勝ち誇ったような表情を浮かべているアデーレのことを思い出して、つい重いため息を吐いてしまった。

「年に一度の浮気……」

 ああ、レオンハルトさまは知らなかったのね。なんとも言えない困惑しているような表情を浮かべている。

「ええ。それで今回、もういいかなって思いましたの」
「それは……諦めたということですか? 彼に愛されることを?」
「そもそも、私とダニエル殿下の婚約は政略ですから。そこに愛が芽生えれば良かったんですけれどね……」

 私は私の意地のためにいろいろなことをクリアしてきた。ダニエル殿下の婚約者として……いいえ、として相応しくないと思われたくなかった。それは私のプライドが許さない。

「愛は芽生えてない、と?」
「芽生えそうだったところを、ぐしゃっと踏みにじられた、が正解ですわ」

 扇子を広げて口元を隠して、目だけで笑う。

 婚約者になったのは十歳の頃。ダニエル殿下が私を選んだと聞いたときは、そりゃあ嬉しかった。でも、その嬉しさが続いたのは数ヶ月だけ。王族の婚約者として、私は忙しくなった。家庭教師が増え、毎日張り詰めたように生きていた。

 ダニエル殿下と会うときも緊張した。ダニエル殿下はそんな私を見てどう思ったのか、次に会うときには女性と一緒だった。ダニエル殿下よりも年上の女性だった。彼女に甘える姿を見せつけてきたのだ。

 好きになれるように、努力をしなきゃいけないと思っていた私には、その光景はあまりにも毒だった。婚約者がいる前でそんな姿を見せる相手を、どう好きになれば良いのがわからなかったのよね。

「……それでも、婚約を続けていたのですね」
「さすがに王族との婚約をこちらから解消するのは……」

 だからこそ、卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたときは驚いたけれど、これでダニエル殿下の婚約者じゃなくなることに安堵もした。

 こんなに素敵な人とも巡り会えたしね!
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