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お見合いで一目惚れ!? 2-2
しおりを挟むそんなことを考えながら歩いていると、すぐに応接間についた。
扉をノックすると、お父さまから「入りなさい」と言われたので、セバスチャンが扉を開け、中に入る。
お父さまとお母さま、それからもうひとり。
綺麗な黒髪に、まるで深い海を宿したような青い瞳。
体格は割とがっしりとしていて、強そう。……顔も身体も、私の理想の男性像――……! 驚きのあまり、息を呑む私に、彼は私の前に立つ。私よりも十センチ以上は高そうね。
「お目に掛かれて光栄です。レームクール令嬢。わたしは、レオンハルト・フォルクヴァルツと申します」
そう言って、花束を差し出す。白い花。ふわりと鼻腔をくすぐる甘い香りに私は花束を受け取り、片手でドレスの裾を掴みカーテシーをした。
「お会い出来て光栄です、フォルクヴァルツ辺境伯。エリカ・レームクールと申します」
顔を上げてにこりと微笑むと――彼は、優しく微笑みを浮かべた。ああ、笑顔も素敵ねっ。
こんな人が結婚していないなんて……どういうことなの!?
こんなに格好良い人なのに……? と考えていたら、彼は私の元に跪いてすっと手を差し出す。こ、これはもしや……?
彼の手を取ると、そっと私の手の甲に唇を落した。
イケメン……! イケメンのこれは効く……! 心に……!
「うふふ、エリカったら顔を真っ赤にさせちゃって」
お母さまが小声で呟く。だって、だって。釣書だけでこんな人が来るとは思わないじゃない――……!
「ようこそ、レームクール家へ。レオンハルト会うのは久しぶりだね」
「はい、レームクール伯爵。ご無沙汰しております」
私の手を離して、すくっと立ち上がってからお父さまに身体を向けた。そして、軽く頭を下げる。フォルクヴァルツ辺境伯の横顔もとても素敵で……婚約破棄されてから二週間と少しだというのに、私の心はすっかり彼の虜になってしまったようだわ……。
だってこんなにも、ドキドキと胸が高鳴っているのだもの。……これを恋に落ちたと言わずに、なんと言えばいいのかしら?
お父さまとフォルクヴァルツ辺境伯が会話をしていると、お母さまが私に近付いた。
「格好良い人よねぇ?」
扇子で口元を隠して、こそっと囁くお母さま。私はこくりとうなずいた。すると、お母さまはぱぁっと表情を明るくさせてお父さまに近付き、お父さまの袖をクンっと引っ張って、耳元でなにかを囁いた。
お父さまは小さくうなずき、それからぽんっと彼の肩に手を置くと、「それじゃあ、早速だけどふたりで話してみてくれるかい?」と応接間から出て行ってしまった。
お母さまも一緒に。
残された私たちは互いに顔を見合わせた。……こんなに急にふたりきりだなんて、どうすればいいのっ?
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