【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

秋月一花

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お見合いで一目惚れ!? 1-2

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 お父さまは中身を確認してから、私に差し出した。少し戸惑いながらもそれを受け取り、中身を確認する。

「……あの、お父さま。一体……?」
「父さんの友人の子なんだ。辺境伯を継いでいて、未婚でな。エリカが良ければ、会ってみてくれないか?」
「……お父さまの、ご友人?」

 そういえば、お父さまって結構顔は広いけれど、広く浅くの付き合いが多いような気がする。友人、ときっぱり言い切ったということは、信頼しているのだろう。

「年に一度、コンスタントに浮気をするような相手ではエリカを幸せには出来ないだろう。エリカがゆっくり相手を探したいという気持ちもわかるが……父さんの顔を立てると思って、一度だけでも良いから会ってみてくれないか?」

 私の反応を窺うように、お父さまがちらりとこちらを見る。釣書に視線を落してそれから微笑みを浮かべてみせた。

「お父さまの頼みなら、断れませんね」

 お父さまはぱぁっと表情を明るくさせて、「よかった、それじゃあ早速返事をしてくるよ」と椅子から立ち上がり、慌ただしく去って行った。

 そんなお父さまをお母さまは口元に手を当てて見送っていた。愛しそうに、目元を細めながら。

「そうそう、これ、今日の号外なのよぉ」

 と、お母さまが新聞を手渡す。釣書をテーブルに置いて、新聞に目を通すと――昨日のことが載っていた。オイゲン陛下からの言葉まで。婚約破棄されたのは昨日なのに、よくまぁ号外が作れたものね……感心しちゃう。

「王族だからって浮気が許されることではないわぁ。私はずぅっと心配していたのよ。エリカが嫁いでからもそうなるんじゃないかって。私の可愛い娘が、つらい思いをするんじゃないかって。愛妻家の陛下のもとに生まれた殿下が、なんでこうなっちゃったのか、謎よねぇ」

 頬に手を当てながら空を見上げるお母さま。……確かにそれは、私も謎なんだけどね。

 オイゲン陛下は愛妻家として有名で、『彼女さえいれば良い』ときっぱりと言い切ったというエピソードが有名だ。そして、第一王子であるダニエル殿下の他にも三人の子どもたちがいる。二歳ずつ年が離れているのよ。

「一応私たちも釣書を確認したんだけどねぇ、エリカはいろいろ努力して王族にも負けないくらいの知識やマナーを身に付けたでしょう? だからなのか、結構公爵家からも多いのよぉ」

 ――ちらり、とセバスチャンがテーブルに置いた釣書に視線を向ける。公爵家に嫁げば、否応なしにダニエル殿下と会うことになるだろうから、お断りしたい。昔の女扱いされそう。

「だからねぇ、ある意味ちょうどいいのかもしれないと思ったのよぉ。あの人のお友だちなら、安心な気がしない?」

 うふふ、と笑うお母さまに、私は「そうですね」と返した。
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