【完結】婚約破棄×お見合い=一目惚れ!?

秋月一花

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卒業パーティーで婚約破棄イベント 2-2

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「王族の婚約が、愛だけで決まるわけがなかろう」

 呆れたようにバッサリと、切り捨てられた。アデーレは自分の主張が通らないことにショックを受けていたみたいだ。自分が正義だと信じて疑わないその姿勢、ある意味すごいと思うわ。

 元々、この婚約はオイゲン陛下からレームクールに持ち掛けた婚約であることも、ダニエル殿下が私と婚約したいと言い出したことも彼の中ではさっぱりと忘れられているのだろう。

 オイゲン陛下とお父さまが、いろいろ話し合って決めた婚約らしい。

 ダニエル殿下は戸惑っているように見えた。アデーレもまた、どうしてこんなことになっているの? と怪訝そうに表情を歪めていた。

「……私は、殿下の妃になるために努力をしたつもりです」

 ダニエル殿下に視線を向けてから、オイゲン陛下に聞こえるように言葉を発する。

 伯爵家の私が王族に嫁ぐということは、準備が必要だということ。

 歩き方は頭の先からつま先、指先まで気をつけて、美味しい紅茶を淹れる練習、学問、マナー講座、ダンスレッスン……数えきれないほどの習い事をクリアしてきたのは、意地でもあった。

 いつか来るこの日に向けて、私は努力をしたのだと、胸を張って言いたかった。愛されるためではなく、彼の隣に立つにはこんなにも努力が必要なのよ、と見せつけるために。

 私が習い事をしている間、ダニエル殿下はアデーレと逢瀬を繰り返して愛を育んでいたみたいだけど。

 ……習い事に夢中になって、彼とのことを疎かにしていた自覚はあるけどね。仕方ないじゃない、私にとっては習い事のほうが大切だったのよ。だって身につけた教養は私の財産になるのだもの。

 それに、婚約破棄されるのはわかっていたから……。やり込んだ乙女ゲームだ、この結果になる予想はしていた。

「……その努力は水の泡になりましたが……。愛とは儚いものですね」

 扇子で口元を隠したまま、顔を隠すように俯く。肩を震わせていたから、たぶん泣いているように見えたかもしれないけれど、逆だ。

 笑いを堪えているのだ。

 ……だって、面白いじゃない? 婚約破棄された当事者だけど、この状況……どう見ても殿下たちのほうが不利だもの。

 ダニエル殿下の婚約者として、淑女のお手本みたいな存在になれるように努力した結果がコレ。

 婚約破棄されるからといって、努力をおこたることはしなかった。

 ――さて、オイゲン陛下はどう出るかしら……?

 期待と不安で少し心が揺れながらも、オイゲン陛下に視線を向けた。
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