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4章:アシュリンと魔法の絵本
アシュリンと魔法の絵本。 1話
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――この世界、エルピスは不思議に満ちている。
リーリクルで三日ほどメイソンとロッティの家に泊まったアシュリンとラルフは、いつもの旅人の服に着替えて、彼らの家の前に立っていた。
「それじゃあ、おじいちゃん、おばあちゃん、お世話になりました!」
「楽しい時間をありがとうございました」
アシュリンとラルフは二人に向けて頭を下げる。すぐに顔を上げて、ロッティはパタパタと足音を立ててアシュリンをぎゅっと抱きしめる。
メイソンもラルフに近付き、彼の肩をぽんぽんと叩いた。
「少しのあいだだったが、孫が増えたようで楽しかったよ」
「アシュリン、ラルフくん。気をつけていってらっしゃい」
アシュリンに抱きついていたロッティが離れ、ほんの少しさびしそうに……それを隠すようににこりと微笑んで、二人に声をかける。
「いってきます」
二人は声をそろえて、メイソンとロッティに笑いかけた。
そして、スタスタと歩き出す。
ときどき、振り返ると大きく手を振ってくれていたので、アシュリンたちも振り返した。
『さぁ、また旅の始まりですよー!』
「……その本、湖にもいたけど、濡れなかったの?」
『魔法の本は濡れません! なぜなら魔法の本だからです!』
「……そ、そう」
本の勢いにラルフはタジタジだ。確かに何度湖に遊びに行っても濡れていなかったので、なにか不思議な力があるのだろう。
「それにしてもこの本、ちょっと分厚くなった?」
「毎日ページが増えていくからね。そのうちわかれるんだって」
「……え?」
『一定のページが埋まれば、一冊の絵本としてポンっと!』
アシュリンが身振り手振りで教えてくれたが、本の言葉に思わず交互に眺めるラルフ。
「それは楽しみだな」
ルプトゥムがアシュリンと本にやさしく声をかけ、アシュリンは「うん!」大きくうなずく。いつか、一冊の絵本になったとき、自分の旅がぎゅっと詰まった一冊になると考えると、今からワクワクしてしまう。
「本の内容って、どうなるの?」
『そのままではないですね。そのままだとただの絵日記ですから。ご主人さまが一番大切にしたい思いを主に編集します!』
「本が!?」
『もちろん!』
本が自分の絵本をプロデュースする、というのはなかなか新鮮に思えたラルフは、アシュリンに「本が編集していいの?」とたずねた。
キョトンとした表情を浮かべてアシュリンはラルフを見た。こてんと首をかしげるのを目にして、ラルフはもしかして、と言葉をつむぐ。
「えーっと、編集の意味がわからない……?」
「なんかこう、良くすることって聞いた!」
両手の人差し指で丸を描き、その丸をこねるように手を動かすアシュリンに、ラルフはちらりと本に視線を移した。
本は楽しそうにくるくると踊っている。
リーリクルで三日ほどメイソンとロッティの家に泊まったアシュリンとラルフは、いつもの旅人の服に着替えて、彼らの家の前に立っていた。
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メイソンもラルフに近付き、彼の肩をぽんぽんと叩いた。
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「アシュリン、ラルフくん。気をつけていってらっしゃい」
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「いってきます」
二人は声をそろえて、メイソンとロッティに笑いかけた。
そして、スタスタと歩き出す。
ときどき、振り返ると大きく手を振ってくれていたので、アシュリンたちも振り返した。
『さぁ、また旅の始まりですよー!』
「……その本、湖にもいたけど、濡れなかったの?」
『魔法の本は濡れません! なぜなら魔法の本だからです!』
「……そ、そう」
本の勢いにラルフはタジタジだ。確かに何度湖に遊びに行っても濡れていなかったので、なにか不思議な力があるのだろう。
「それにしてもこの本、ちょっと分厚くなった?」
「毎日ページが増えていくからね。そのうちわかれるんだって」
「……え?」
『一定のページが埋まれば、一冊の絵本としてポンっと!』
アシュリンが身振り手振りで教えてくれたが、本の言葉に思わず交互に眺めるラルフ。
「それは楽しみだな」
ルプトゥムがアシュリンと本にやさしく声をかけ、アシュリンは「うん!」大きくうなずく。いつか、一冊の絵本になったとき、自分の旅がぎゅっと詰まった一冊になると考えると、今からワクワクしてしまう。
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「えーっと、編集の意味がわからない……?」
「なんかこう、良くすることって聞いた!」
両手の人差し指で丸を描き、その丸をこねるように手を動かすアシュリンに、ラルフはちらりと本に視線を移した。
本は楽しそうにくるくると踊っている。
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