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3章:アシュリンと再会。

アシュリンとリーリクル。 11話

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「そんなもの……ですか?」

 ロッティはゆっくりとうなずいた。二人の会話にアシュリンは「?」とラルフを見つめる。

「一生のうちに出会える人たちって、限られているからね」

 メイソンがぽつりと言葉をつぶやく。その言葉を拾い、アシュリンは彼に視線を移した。

「世界中の人とお友だちになるには?」

「それはもう、旅を続けていくしかないだろうねぇ」

 この世界――エルピスにいるたくさんの種族たち。

 アシュリンは精霊族のタルコットしか知らないが、もっとたくさんの種族がいることは両親から聞いている。

「そっかぁ。じゃあ、わたしの旅はまだまだ終わらないね!」
「アシュリンは旅、好きかい?」
「うんっ!」

 満面の笑みを浮かべて首を大きく動かすアシュリン。ラルフはまぶしそうに目元を細めて彼女を見た。

「ラルフくんは?」

「えっ、えーっと……。一度、神殿都市に帰って、家の様子を見てみます。なにも変わりなかったら、また旅に出ようかと」
「えっ、神殿都市に? じゃあわたしも一緒に行っていい?」

 アシュリンの申し出に、ラルフは「えっ?」と目を丸くした。メイソンとロッティも彼女の言葉に驚いたのか、一瞬息をんだがすぐにロッティがやさしく微笑む。

「アシュリンはラルフくんとの旅が楽しかったのねぇ」
「一人で旅をしていてもノワールと本が一緒だから、楽しかったけど……」

 アシュリンは一度言葉を切って、ラルフの肩をぽんぽんと叩いた。

「ラルフとルプトゥムと一緒だと、もっと楽しかったの!」

 ノワールとルプトゥム、それからアシュリンの本はボートには乗らずにぷかぷかと空を飛んでいた。ノワールががばっとアシュリンの顔に引っ付き、「むがっ」と彼女が苦しそうにノワールを引き離そうとする。

「……それじゃあ、一緒に行こうか。両親が家にいるかはわからないけれど」
「ん!」

 べりっとノワールを引き離して、笑顔を見せるアシュリンに、ラルフが眉を下げた。

 おそらく両親は今もいそがしく飛び回っているだろうから、アシュリンを紹介できる可能性は低い。

 それでも、いつもお世話になっている人たちへは友だちとして紹介できるかもしれないと考え、ラルフは自分の心の中がぽかぽかと温かくなっていることに気付いた。

 それはとても不思議な感覚で……温かさを堪能するように自分の胸元に手を置いて目を閉じる。

 その様子を眺めていたメイソンとロッティが、顔を見合わせて微笑んだ。

「それじゃあ、今のうちにたくさん遊んでいかないとね」
「うん! そろそろボートの時間終わりだよね。今度はみずうみで泳ごう!」
「せっかく水着に着替えたしね」
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