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3章:アシュリンと再会。

アシュリンとお兄ちゃん。 6話

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 小屋の中に入ると、アシュリンは辺りを見渡してドレッサーを見つけ、駆け足で向かう。リュックをおろしてすとんと鏡の前に座り、アンディがくるのを待つ。

 アンディが小屋に入り、ドレッサーの椅子に座っているアシュリンに気付いて近付く。そっと彼女の肩に手を置いて、「それじゃ、直すから」と声をかけてから、三つ編みをほどきドレッサーの引き出しからくしを取り出した。

 休憩スペースに置かれているものは、誰でも使っていいもので、使い終わるとすぐにきれいになるように魔法がかけられている。

 すっすっ、と毛先のほうから梳いていく。

「アシュリンの髪をいじるのもひさしぶりだな」
「三年ぶりだもんね。なつかしいなぁ!」

 アシュリンは声を弾ませた。三年前、アンディが旅立つ前はずっと彼に髪を結んでもらっていた。そのことがとても懐かしくて思わず表情がほころんだ。

「せっかくだから、いつもしない髪型にしようか」
「本当? 楽しみ!」

 ぐしゃぐしゃになった頭の天辺てっぺんも、くしで整えてもらいきれいになった。それからアシュリンの髪を器用にいじるアンディに、ワクワクとした目を隠すことなく鏡を見つめる。

 アンディはポケットから髪をうためのゴムを取り出すと、髪を左右にわけておだんごを作った。頭の上のほうでまとめ、リボンを取り出してきゅっと結ぶと、

「どうだ?」

 と聞いてきた。アシュリンは鏡に映る自分の姿に、目をキラキラと輝かせてうっとりとした表情を浮かべた。

「お兄ちゃん、すごーい! このリボン、どうしたの?」
「アシュリンに似合いそうだと思って買ったんだ。気に入った?」
「うん、すっごく!」

 赤みの強いレディシュの髪にネイビーのリボン。なんだか上品な女の子になったような気がして、アシュリンはじーっと鏡を見つめ続けている。

『レディシュの髪とネイビーのリボン、似合ってますね』
『本当、本当。あ、どうも初めまして、本です』

 パッと出てきてなかなかにシュールな自己紹介をしてきたのは、アンディの本だった。その本は分厚く、三年間の思い出がたくさん詰まっているのだろうと思い、アシュリンは椅子から立ち上がった。

「はじめまして! お兄ちゃんの本! どんな本の内容なの?」

 ぺこっと頭を下げるアシュリンに、本もぺこっと動いた。そしてぱらぱらと本をめくり、とあるページで見開き動きを止める。

「あ、おじいちゃんとおばあちゃん!」

 本に書かれていたのは、母方の祖父母だ。挿絵さしえのようで、やわらかく微笑んでいて、なんだかうれしくなって挿絵を眺めるアシュリン。

「会ってきたの?」
「うん、一年前くらいに。そのときは元気そうだったよ」
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