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3章:アシュリンと再会。

アシュリンとお兄ちゃん。 1話

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 てくてくと街道かいどうを歩いていく。髪色は一日で戻って心底安堵あんどした。魔法のこんぺいとうの中身はまったく減っていないように見えて、その日はラルフたちと一緒に一つずつ数えたことを思い出し、アシュリンは「ふふふ」と笑う。

「どうしたの、いきなり笑い出して」
「魔法のこんぺいとうを数えたときを思い出して!」

 あれから一週間ほどっている。そのあいだに、何度かあのこんぺいとうを食べて髪色を変えて鏡をじーっと見つめて別人みたい! と遊んでいた。

 カラフルなこんぺいとうは、アシュリンによって『お星さま』と名付けられた。きっとあの夢で手に入れたものだから、魔法の力が宿やどっているのだろうと考えて、小瓶を大事にリュックにしまった。今はもとの髪色で歩いている。

 レディシュの背中まである髪を三つ編みにしているので、歩いていると三つ編みが揺れる。青と緑色のミックスカラーの瞳は、真っ直ぐに前を見つめていた。

 彼女の左下には、使い魔である黒猫のノワールが、揺れている三つ編みに気を取られながら歩いている。

 右側にはキラキラとまぶしい銀色の髪と、深い森のような深緑しんりょくの瞳を持つラルフが歩き、彼の少し前を使い魔である銀狼のルプトゥムがときどき振り返りながら歩いている。おそらく、ちゃんと自分についてきているのか確認しているのだろう。

「それにしても、すごいよね。あの『お星さま』」
「変装するときにぴったりだよね!」

 あんなに簡単に髪色が変わるのだから、と自分の三つ編みを持って軽く振る。お忍びしたいときにいいかもしれないとラルフと盛り上がっていると、次の休憩スペースについた。

「……あれ?」

 休憩スペースの前に、誰かいる。

 それはアシュリンと同じレディシュの髪を持ち、緑とオレンジのミックスカラーの瞳の少年だった。

 彼はアシュリンに気付くと、大きく手を振り自分の存在をアピールする。

「お、お兄ちゃん!?」
「アシュリン! ひさしぶり!」

 休憩スペースの前に立っていたのは、兄のアンディ・フォーサイスだった。そして、彼の使い魔である黒ヒョウのニーグルムもアシュリンたちに視線を向けた。

 ノワールがぴょんとアシュリンの肩に乗り、ニーグルムとにらめっこを始める。これはいつものことなので、アシュリンもアンディも気にしていない。

「うん、ひさしぶり、お兄ちゃん! 元気だった?」
「もちろん元気だったよ。アシュリンが旅立ったって聞いて、いつか会えるんじゃないかなって思ってたんだ!」

 アシュリンはアンディにも手紙を書いていた。本に選ばれて旅立ったことも、ラルフと出会って一緒に旅をしていることも手紙に書き――彼の目を丸くさせた。かわいい妹が旅立ったと知り、アンディは彼女に何度も手紙を送り、近況を教えて合っていたのでこうして彼女を待つことができた――のだが、

「すっかり大きくなって……」
「いやいや、大きくなったのはお兄ちゃんのほうでしょ!」

 自分の予想以上に背が高くなったアンディに、アシュリンは思わずツッコんだ。
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