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2章:アシュリンと出会い。

アシュリンとお友だち。 6話

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 てすりをつかんで、スタスタと軽快けいかいな音を立てながら階段をのぼっていく。どんどんと遠くなる地面を見て、ほうきに乗って空を飛んでいるときを思い出しアシュリンはすっとゴールを見上げる。

 今、自分はほうきをもっていない。全部リュックの中に入っている。

 もしも足をみ外しても、風の魔法を使えばなんとかなるだろうと自分に言い聞かせて、階段をずんずんといきおいよく進んでいく。

「うわぁー!」
「え、な、なに?」
「にゃにかが転がってくるにゃ!」

 小さいものがトントントンと上から落ちてくるのを、アシュリンは慌てて風魔法を使って受け止めた。

「た、助かりました……」

 階段の上にそっと下ろすと、ぺたんとお尻をついて座り込む。アシュリンよりもとても小さい種族のようで、顔を青ざめさせている。

「大丈夫? あなたはだぁれ?」
「ボクは精霊せいれい族のタルコット・ミルズです。もうちょっとで天辺てっぺんというところまで行ったのですが、強風で飛ばされてしまいました……」

 しょんぼりと肩を落とし、涙を浮かべるタルコットに、アシュリンはそっと手を差し伸べた。

「わたしはアシュリン・フォーサイス。ねえ、タルコット、わたしが連れていってあげる!」

 アシュリンの提案ていあんにタルコットは目を大きく見開き、それからすぐにぱぁっと瞳を輝かせる。

「良いのですかっ?」
「うん、ここで出会ったのもなにかの縁だもん! 一緒に遊ぼう!」
「ありがとうございます、アシュリンさん!」

 精霊族のタルコットはアシュリンの人差し指ほどの大きさしかなく、彼女の手のひらによいしょっと声を出しながらよじのぼる。落とさないように、とアシュリンはポケットの中にタルコットをそうっと入れた。

「前が見える?」
「大丈夫です! 重くはないですか?」
「全然重くないよー」

 アシュリンのマントの胸ポケットに入ったタルコットは、彼女を見上げた。視線に気付いたアシュリンがにこっと笑うと、照れたように微笑み返す。
 タルコットはきれいな空色の髪に、紫色の瞳をしていた。

 どうやら滑り台で遊んでみたかったけれど、とても高い滑り台だったので何日もかけてあとちょっとまで、というところにたどりついたのだが、強風で階段から足を踏み外してアシュリンに助けられたらしい。

「身体が小さいと大変だね」

 自分の背だってあまり高いほうではないが、さすがにアシュリンの人差し指ほどの精霊族であるタルコットの苦労を想像すると、なぐさめるような言葉が自然と出た。

「まぁ、慣れてはいるので……それに、精霊の力を使えばなんとかなるものも多いですから」
「そういえば、タルコットはどんな精霊なの? わたし、精霊族って初めて見るからくわしくないの」
「人間さんの近くにはあまり姿を見せませんから……」
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