君を守るために、演じ切ってみせよう。

 とある城で行われた、とあるパーティー。

「――シャーロット、君との婚約破棄を宣言する!」

 王太子であるリンジーは、自身の婚約者にそう宣言した。
 シャーロットは大きく目を見開いて、「なぜですか、リンジー殿下!」と声を荒げた。リンジーは目を伏せて、隣に居る令嬢、ローズマリーの肩を抱いてさらに言葉を続けた。

「君は南の大陸へ行くことになった。今すぐに、この国から出て行きたまえ」

 シャーロットは耐えきれないように肩を震わせて、パーティー会場から出て行った。その姿を、リンジーは目元を細めて彼女の背中を見つめていた。

「本当に宜しいのですか、殿下」
「ああ、……君も、すぐにこの国からすぐに逃げるべきだ」

 パーティーが終わってから声を掛けてきたローズマリーに金貨の入った袋を渡し、そう言うリンジー。
 
 ――せめて、シャーロットが南の国につくまでは、何も起きませんように。
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