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11話(完)
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それから一年――……色々なことがあった。『ポーラ』が住んでいた家の裏庭には、白骨遺体があった。恐らく、今まで犠牲になっていた『ポーラ』だろう。あと少し遅ければ、マーシーも……。
神殿に捕らえられたマハロは、狂乱状態になりながらも『ポーラ』を求めていた。私と結婚したのは、私が嫁いで来た資金で『ポーラ』を囲おうとしたかららしい。全く以て呆れてしまう。
私とマハロは正式に離婚をした。結婚した妻を蔑ろにし、幼馴染――それも、偽りの幼馴染を囲っていたことがバレて、マハロは男女共に糾弾されていた。一方、私はと言うと……『夫に愛されることもないまま、領地を運営していた夫人』と言う噂が広まったようで、私が伯爵家を継ぐことを公言しても、誰も文句ひとつ言わなかった。良いのか悪いのか……。
マーシーは解毒剤を飲み続けた結果、すっかりと元気になった。微量とはいえ三ヶ月ずっと飲み続けていた毒だから、解毒するのに時間が掛かったと言っていた。
「カハレ伯爵にご挨拶を申し上げます。フェリシアン・ホールデンと申します」
「ごきげんよう、フェリシアンさん。疲れたでしょう? ゆっくり休んでください」
――そして、私は今、『恋』をしている。相手は彼、フェリシアンさんだ。元は貴族であった彼が、神殿を守る聖騎士だと知ったのは、マハロを捕らえた後すぐだ。考えてみればエヴァン司祭を守る人だものね……。
「……マハロの様子はどうですか……?」
「相変わらず、罪を罪と認めようとしません。彼にとって、『ポーラ』と言う女性はどういう存在だったのかすらも、正直わかりません」
「わからなくても良いと思います」
フェリシアンさんはマハロの様子を教えてくれる。それを頼んだのは私だ。マハロがなにを考えているのかは……さっぱりわからないけれど……。
五年……いえ、六年前に姿を消した彼の幼馴染。話をよく聞いてみると、マハロが手に掛けた可能性が高いと言うこと。彼はそれを認められなくて、代わりの『ポーラ』を求めたのではないか、と言うのがエヴァン司祭の考えだ。
「――幼馴染とは、そんなにも心を狂わせる存在なのでしょうか……」
「いえ、今回の件については彼が異常なだけかと……」
緩やかに首を振ってそう言うフェリシアンさん。言葉を交わすたびに、彼に惹かれていく自分がいる。まさか私が『恋』を知ることになるとは……。
「……疲れているようですが、今度、気分転換に街へと行ってみませんか?」
「街、ですか?」
「ええ、たまには仕事以外のこともしないと、ね?」
優しく声を掛けられて、私はうなずいた。マハロと離婚して一年――……、領民たちの様子も気になるし、彼の誘いに乗ることにした。一緒に居られるのは嬉しいし、ね。これから私たちがどんな関係になるのかわからないけれど――今度こそは、結婚記念日をスルーしない人と結婚したいものだわ……!
それに……誰かに『恋』をしたのは初めてだから、この想いを大切にしたいの。私、まだ……人を好きになれたんだってわかって、嬉しいのよ。
これから先、きっと――今までよりも、幸せな時間が待っていると、信じている。
神殿に捕らえられたマハロは、狂乱状態になりながらも『ポーラ』を求めていた。私と結婚したのは、私が嫁いで来た資金で『ポーラ』を囲おうとしたかららしい。全く以て呆れてしまう。
私とマハロは正式に離婚をした。結婚した妻を蔑ろにし、幼馴染――それも、偽りの幼馴染を囲っていたことがバレて、マハロは男女共に糾弾されていた。一方、私はと言うと……『夫に愛されることもないまま、領地を運営していた夫人』と言う噂が広まったようで、私が伯爵家を継ぐことを公言しても、誰も文句ひとつ言わなかった。良いのか悪いのか……。
マーシーは解毒剤を飲み続けた結果、すっかりと元気になった。微量とはいえ三ヶ月ずっと飲み続けていた毒だから、解毒するのに時間が掛かったと言っていた。
「カハレ伯爵にご挨拶を申し上げます。フェリシアン・ホールデンと申します」
「ごきげんよう、フェリシアンさん。疲れたでしょう? ゆっくり休んでください」
――そして、私は今、『恋』をしている。相手は彼、フェリシアンさんだ。元は貴族であった彼が、神殿を守る聖騎士だと知ったのは、マハロを捕らえた後すぐだ。考えてみればエヴァン司祭を守る人だものね……。
「……マハロの様子はどうですか……?」
「相変わらず、罪を罪と認めようとしません。彼にとって、『ポーラ』と言う女性はどういう存在だったのかすらも、正直わかりません」
「わからなくても良いと思います」
フェリシアンさんはマハロの様子を教えてくれる。それを頼んだのは私だ。マハロがなにを考えているのかは……さっぱりわからないけれど……。
五年……いえ、六年前に姿を消した彼の幼馴染。話をよく聞いてみると、マハロが手に掛けた可能性が高いと言うこと。彼はそれを認められなくて、代わりの『ポーラ』を求めたのではないか、と言うのがエヴァン司祭の考えだ。
「――幼馴染とは、そんなにも心を狂わせる存在なのでしょうか……」
「いえ、今回の件については彼が異常なだけかと……」
緩やかに首を振ってそう言うフェリシアンさん。言葉を交わすたびに、彼に惹かれていく自分がいる。まさか私が『恋』を知ることになるとは……。
「……疲れているようですが、今度、気分転換に街へと行ってみませんか?」
「街、ですか?」
「ええ、たまには仕事以外のこともしないと、ね?」
優しく声を掛けられて、私はうなずいた。マハロと離婚して一年――……、領民たちの様子も気になるし、彼の誘いに乗ることにした。一緒に居られるのは嬉しいし、ね。これから私たちがどんな関係になるのかわからないけれど――今度こそは、結婚記念日をスルーしない人と結婚したいものだわ……!
それに……誰かに『恋』をしたのは初めてだから、この想いを大切にしたいの。私、まだ……人を好きになれたんだってわかって、嬉しいのよ。
これから先、きっと――今までよりも、幸せな時間が待っていると、信じている。
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