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パーティー当日。 2話

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 ラピスラズリの石言葉は、真実、健康、幸運、愛和。

 今日のパーティーにぴったりな石言葉だと思うわ。

 マーセルと一緒に会場に入ると、周囲の視線が一気に集まった。そして、ざわざわと騒がしくなる。予想通りの反応ね。

「久しぶりに見られていますね」
「ええ。視線にはもう慣れたかしら?」
「そうですね、結構慣れたと思います」

 わたくしとマーセルが和やかに話しているからか、みんな不躾にこちらの様子をうかがっている。大体の学生と保護者たちがパーティー会場に集まり、最後に今日のメインであろう、レグルスさまとマティス殿下が姿を現した。

 ゆっくりと歩いてくる姿を眺めていると、レグルスさまがわたくしに気付いて、パチンとウインクをしたので、にこりと微笑んでみせる。

 学園長がパーティーの宣言をし、ダンスタイムに入る前に、パーティーの余興としてレグルスさまとマティス殿下の一騎打ちをすることを伝えると、みんなわぁっと盛り上がった。

「すごい熱気ね」
「どちらかが勝つのか、保護者同士でも賭けているらしいですよ」

 ひそひそと会話をわすわたくしたち。辺りを見渡すと、みんなの瞳がギラギラとしていて、思わず両肩を上げる。……学生たちだけではなく、保護者たちまで賭けをするなんて、少し驚いてしまったわ。

「……ねぇ、マーセル。あなたはどちらが勝つと思う?」
「私の気持ちとしては、マティス殿下に勝ってほしいです。……ただ、レグルスさまの実力を知らないので、なんとも言えませんね……」

 パーティー会場の真ん中に、レグルスさまとマティス殿下が並ぶ。

 彼らを囲うように円状になるわたくしたち。

 広いスペースで向かい合う二人。

「留学生と我が息子の一騎打ちか。それは面白そうだ」

 上のほうから声が聞こえた。見上げると、この国の王であるグラエル陛下がにんまりとした表情を浮かべているのが見えた。

 視線に気付いたのか、わたくしに視線を向けているような気がする。

「カミラさま?」
「……いえ、なんでもありませんわ」

 グラエル陛下から視線を外し、レグルスさまを見つめる。心配そうなマーセルには、緩やかに首を横に振った。

「クロエがこの場にいないことが、残念ね」
「貴族だけってケチですよねー」
「ブレンさま! 今までどちらに?」
「美味しそうな料理が並んでいたので、食べていましたー」

 満足そうにお腹をさするブレンさまに、わたくしとマーセルは顔を見合わせてしまった。今から一騎打ちが始まるのに、ブレンさまは普段通りね。
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