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明かされた事実。 2話

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 オリヴィエさまの声が震えていた。そして、情報過多になったのか、ふっと気を失ってしまったようだ。ノランさまとマーセルが「オリヴィエ!」や「お母さま!」と声を上げる。

「……オリヴィエさまには、申し訳ないことをしましたわね」

 わたくしの口から、『お母さま』と呼ぶことはないでしょう。今までずっと、マーセルを実の娘だと信じて育ててきたオリヴィエさま。

「……どうして、知ったのですか?」
「マティス殿下に聞きましたの。……本来ならば、マーセルが公爵令嬢だということを」

 嘘ではない。あのときのわたくしは『マーセル』だったけれど、ね。

「これで失礼しますわ。――さようなら、カースティン男爵」
「まっ……!」

 引き止めようとするノランさまをじっと見つめる。彼は、諦めたように目を伏せた。

 マーセルを残して、わたくしたちはその場をあとにし、ここまで来るまでに乗っていた馬車に乗り込み、今度はわたくしの――いえ、ベネット公爵邸に向かった。レグルスさまも、ブレンさまも、クロエも一緒に。

 こうして『カミラ』として公爵邸に行くのは、とても久しぶりのような気がする。

 客人を連れて帰ってきたわたくしに、公爵邸のメイドや執事たちは驚きを隠せないようだった。

「お父さまたちはどこへ?」
「あ、えっと、執務室にいらっしゃいます」
「わかったわ、ありがとう」

 お父さまたちがどこにいるのかを尋ね、返ってきた言葉にお礼を伝えてからずんずんと執務室に足を運ぶ。

 執務室の前に立ち、ノックもせずに扉を勢いよく開いた。

「ごきげんよう、お父さま。――お母さまとお兄さまも、こちらにいらっしゃったのですね」
「カミラ! なんてはしたない真似を!」

 お母さまが睨みつけてきた。わたくしは目元を細めてお母さまをじっと見つめる。その眼光の鋭さに、怯んだように息を呑むのを見て、ツカツカと足音を立ててお父さまに近付き、口を開く。

「わたくしとマティス殿下の婚約を白紙にし、わたくしをベネット家から解放してください」
「い、いきなりなにを言っているんだ、カミラ!」
「わたくし、もう全部知っておりますの。あなた方がわたくしの本当の家族ではないことも、本当は男爵家に生まれていたことも、陛下がどうしてわたくしをマティス殿下の婚約者であることを望んだのかも!」

 しん、と静まり返った執務室の中で、レグルスさまがわたくしに近付き、お父さまたちに視線を巡らせる。

「証人が必要なら、俺とブレン、それからクロエも証人になるぜ?」
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