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友人とお風呂って夢だったのよね。 2話

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 きっちりとわたくしがやったようにやってみせる彼女に、ふふっと笑いがこぼれる。

「どうしました?」
「いえ、なんだか……マーセルの身体になったときには驚いたけれど、彼女は自由ねって思ってしまって」

 シャンプーにしても、身体を洗うことにしても、公爵令嬢というだけメイドたちに囲まれたことを思い出して眉を下げた。

 自分でもできると伝えたことがあるけれど、『公爵夫人に罰せられます』と聞いてしまえば、抵抗する気も失せる。

「さて、次は身体の洗い方よ。背中を流してあげる!」
「……カミラさま、楽しんでいませんか?」
「楽しんだもの勝ちじゃないかしら、こういうのって」

 トリートメントを洗い流してもらってから、乾いたタオルで髪を巻いてきゅっと結ぶ。

 クロエを再び座らせて、石鹸を泡立てた。

 もこもこと泡立っていくのを見て、手でクロエの身体を洗う。

「手で洗うほうが、肌には良いのよ」
「くすぐったいです……!」

 くすぐったそうに身をよじって笑うクロエ。それを見て、わたくしも声を出して笑った。

 前のほうはさすがに自分で洗ってもらった。そして、わたくしも背中を流してもらい、全身をピカピカにしてから湯船に浸かる。

「……私、こんなに広いお風呂に入ったの初めてです」
「ふたりどころか、もっと大勢入っても大丈夫そうなくらい、広いわよね……」

 とろみのある乳白色のお湯。

 さっき入浴剤を入れたから、その効果なのか、肌がしっとりと保湿されている気がする。

「温泉に入るときって、こんな感じなのかしら?」
「温泉はもっと広いと思いますよ……」

 確か、リンブルグは海も良いけれど温泉も良いとなにかの雑誌で読んだことがある。

 リンブルグってなんでもあるのね、と考えた記憶があるの。

 この国にはなにがあるかしら、と思考して……ワイン、かな。名産品。あとは果物も美味しいと思う。

「……こんなにゆっくりとお風呂に入ったの、久しぶりです」
「忙しかったのね」
「はい。いろいろと……。良いですね、なんだか、心まで癒される気がします」
「……そうね。わたくしも、そう思うわ」

 身体が温まったら眠くなってきた。

 眠る前に、髪をきちんと乾かして、肌の手入れをしなくては。

 そんなことを考えつつ、クロエとのお喋りに夢中になってしまった。

 だって、彼女の見ている世界は、わたくしにはとっても新鮮だったのですもの!

「すっかり長湯してしまいましたね……」
「お水が飲みたいわ……」

 湯船から上がって、タオルで水滴をぬぐってからバスローブへ袖を通す。

 長湯で身体がぽかぽかとし過ぎちゃって、冷たい水を求めて歩けば、クロエに「私が用意します」と駆けていった。

 コップに水を入れて持ってきてくれたので、それを受け取りごくごくと一気に飲む。

「はぁ、美味しい……」
「お風呂上りの一杯は格別ですよね」

 クロエは自分の分の水を同じように一気に飲む。

 一気の身なんて、カミラの身体じゃできなかったわね。

 そんなことを考えて口角を上げると、クロエが首を傾げた。

「さ、寝る前にスキンケアの仕方を教えるわね」
「はい、カミラさま」

 スキンケアの仕方や、肌に塗る化粧品の話をしながら実践してみせる。

 クロエの肌にもスキンケアをしたから、明日が楽しみね。

 髪のケアの仕方やわたくし好みのオイルを教えながら手入れをした。

 ……こういうのも一度、やってみたかったのよね……!

 すべての手入れを終えて、わたくしたちはベッドに潜り込み、そのまま目を閉じて――あっという間に眠りに落ちた。
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