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4章:寵姫 アナベル
寵姫 アナベル 16-2
しおりを挟むエルヴィスはアナベルの腰を抱いたまま歩き、アナベルはエルヴィスに向けて微笑みを浮かべる。
会場を後にすると、アナベルはエルヴィスの乗って来た馬車へ。ロクサーヌたちは最初に乗って来た馬車へ乗り込む。
馬車の扉が閉まり、御者が馬を走らせるのと同時に、エルヴィスがじっとアナベルを見つめた。
「……どうしました?」
「……いや、随分と扇情的な格好だな、と」
「男性の視線も女性の視線も感じましたわ。うふふ」
ダンスの最中にさえ、その視線を感じた。そのことを話すと、エルヴィスは面白くなさそうに仏頂面になったので、アナベルはくすくすと笑った。
「……イレインが寄こした侍女は、動き出しそうか?」
「ええ、恐らく。いろいろと屈辱も感じたでしょうしね」
「……一気に片付けるか」
「ええ。……そのために、彼女たちを雇ったのですもの」
アナベルたちはそんな会話をしていた。
屋敷に戻ると、屋敷のメイドたちが「準備は出来ております」とアナベルたちに声を掛けた。
「ロクサーヌ、イネス、カミーユ、それから、マルト。食堂まで一緒に行きましょう?」
メイドの言葉を聞いて、アナベルはにっこりと笑う。そして、彼女たちを食堂へと向かわせた。
食堂へ辿り着くと、執事が扉を開けた。
彼女たちの目に飛び込んできたのは、たくさん御馳走だ。
「アナベル様、これは一体……?」
マルトが驚いたようにアナベルに声を掛ける。アナベルはマルトの手を取って、食堂の中へと足を踏み入れた。
「今日はあなたたちの歓迎パーティーよ!」
そう言ってアナベルはマルトたちを座らせて、自分も座った。
「わたくしがメイドたちにお願いしましたの。改めて、よろしくお願いいたしますわね」
「こ、こちらこそ……」
そうして、アナベルたちは美味しい御馳走と美味しいお酒を飲み、すべての御馳走とお酒がなくなるまで、彼女たちの歓迎パーティーをした。
「んんん……」
アナベルが眠そうに目元を擦ろうとするのを、エルヴィスが制した。
「ベル、眠いのなら運んであげようか?」
「……お願いしますわ、エルヴィス陛下」
甘えたようなアナベルの声に、エルヴィスは彼女の体をふわりと持ち上げた。
「今日、私は王城に戻らないといけないが……、ゆっくり休むんだぞ」
「はい、陛下……。寂しいけれど、我慢しますわ……」
うとうととしながらも、アナベルは言葉を返した。
「あ、あの。アナベル様のお世話を、してもよろしいですか?」
「そうだな、頼む」
マルトが立ち上がり、エルヴィスの後を追う。
マルトはぐっと拳を握って、エルヴィスに問うと彼はあっさりとアナベルのことをマルトに頼んだ。
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