25 / 29
冬のごちそう
ひっつみ 1話
しおりを挟む
十一月も下旬になれば、一気に冷え込む。
外に出てはぁ、と息を吐けば、白い息が見えた。雪がちらちらと見えるので、明日の心配をしてしまう。
「あれ、けーこばあば、おでかけ?」
「美咲ちゃん。ちょっと買い物にね」
「あ、じゃあ車に乗って。私も買い物に行くところだから」
恵子は一瞬悩んで、お言葉に甘えることにした。美咲の車に乗って、近所のスーパーで買い物をした。
いろいろと考えて、明日雪が積もったら買い出しにいけないと思い、今日のうちにたくさん食料を買い込んだ。美咲のおかげで予定よりも大量に。
「わざわざありがとうねぇ」
「いえいえ。けーこばあばにはいっぱいお世話になってるからね」
美咲は恵子が買ったものを持って、車に詰め込む。それから自身の買い物を終わらせたのを見て、恵子は首を傾げた。
「お茶だけだったの?」
「うん、ちょうどお茶切らしちゃって。冬ってほうじ茶飲みたくなるんだぁ」
「ほうじ茶美味しいものね」
車に乗り込んで、美咲が買ったものについて尋ねる恵子。
そして、きっと美咲は恵子が外に出るのを見て、近付いて来てくれたのだろうと思い、彼女の気遣いに感謝した。
「美咲ちゃん、時間ある?」
「今日は休みだからあるよ」
「なら、うちでご飯食べていかない? 今日は寒いから、ひっつみにしようと思うの」
「いいね、ひっつみ! 楽しみー」
雪が降るほどの寒さだ。こういう寒い日には、身体の中からぽかぽかと温まるものを食べたくなる。
「私も手伝うよ」
「そうね、ふたりで作れば早いもの」
車の中で会話を楽しみながら、美咲は恵子の家の前に車を止めた。それから、恵子が買ったものを持つ。
「けーこばあばは鍵を開けてね」
「悪いわねぇ」
「いえいえ」
恵子は家の鍵を開け、がちゃりと扉を開く。美咲が中に入り、荷物を置いた。たくさん買ったから重かったろうと思い、「ありがとう」と声をかけると美咲は軽く手を振りながら「気にしないで」と微笑んだ。
「車はどうする?」
「お酒を飲まないなら、このままでもいいけど……」
「じゃあこのままで。けーこばあばのところ、私有地広くていいね」
「そう?」
そんな会話をしながら、手洗いうがいをしてエプロンを身につける。今から作ればお昼には食べられるだろう。
買ったものを先に冷蔵庫に入れ、早速作り始める。
「それじゃあ、作りましょうか」
恵子の言葉に、美咲はこくりとうなずいた。
まずは鍋に水を入れて火をかける。沸騰するまでのあいだ、野菜を用意する。ひっつみに入れる野菜はなんでも構わない。余りものの野菜でも美味しくなるのがひっつみだ。
外に出てはぁ、と息を吐けば、白い息が見えた。雪がちらちらと見えるので、明日の心配をしてしまう。
「あれ、けーこばあば、おでかけ?」
「美咲ちゃん。ちょっと買い物にね」
「あ、じゃあ車に乗って。私も買い物に行くところだから」
恵子は一瞬悩んで、お言葉に甘えることにした。美咲の車に乗って、近所のスーパーで買い物をした。
いろいろと考えて、明日雪が積もったら買い出しにいけないと思い、今日のうちにたくさん食料を買い込んだ。美咲のおかげで予定よりも大量に。
「わざわざありがとうねぇ」
「いえいえ。けーこばあばにはいっぱいお世話になってるからね」
美咲は恵子が買ったものを持って、車に詰め込む。それから自身の買い物を終わらせたのを見て、恵子は首を傾げた。
「お茶だけだったの?」
「うん、ちょうどお茶切らしちゃって。冬ってほうじ茶飲みたくなるんだぁ」
「ほうじ茶美味しいものね」
車に乗り込んで、美咲が買ったものについて尋ねる恵子。
そして、きっと美咲は恵子が外に出るのを見て、近付いて来てくれたのだろうと思い、彼女の気遣いに感謝した。
「美咲ちゃん、時間ある?」
「今日は休みだからあるよ」
「なら、うちでご飯食べていかない? 今日は寒いから、ひっつみにしようと思うの」
「いいね、ひっつみ! 楽しみー」
雪が降るほどの寒さだ。こういう寒い日には、身体の中からぽかぽかと温まるものを食べたくなる。
「私も手伝うよ」
「そうね、ふたりで作れば早いもの」
車の中で会話を楽しみながら、美咲は恵子の家の前に車を止めた。それから、恵子が買ったものを持つ。
「けーこばあばは鍵を開けてね」
「悪いわねぇ」
「いえいえ」
恵子は家の鍵を開け、がちゃりと扉を開く。美咲が中に入り、荷物を置いた。たくさん買ったから重かったろうと思い、「ありがとう」と声をかけると美咲は軽く手を振りながら「気にしないで」と微笑んだ。
「車はどうする?」
「お酒を飲まないなら、このままでもいいけど……」
「じゃあこのままで。けーこばあばのところ、私有地広くていいね」
「そう?」
そんな会話をしながら、手洗いうがいをしてエプロンを身につける。今から作ればお昼には食べられるだろう。
買ったものを先に冷蔵庫に入れ、早速作り始める。
「それじゃあ、作りましょうか」
恵子の言葉に、美咲はこくりとうなずいた。
まずは鍋に水を入れて火をかける。沸騰するまでのあいだ、野菜を用意する。ひっつみに入れる野菜はなんでも構わない。余りものの野菜でも美味しくなるのがひっつみだ。
12
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕の主治医さん
鏡野ゆう
ライト文芸
研修医の北川雛子先生が担当することになったのは、救急車で運び込まれた南山裕章さんという若き外務官僚さんでした。研修医さんと救急車で運ばれてきた患者さんとの恋の小話とちょっと不思議なあひるちゃんのお話。
【本編】+【アヒル事件簿】【事件です!】
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
私の主治医さん - 二人と一匹物語 -
鏡野ゆう
ライト文芸
とある病院の救命救急で働いている東出先生の元に運び込まれた急患は何故か川で溺れていた一人と一匹でした。救命救急で働くお医者さんと患者さん、そして小さな子猫の二人と一匹の恋の小話。
【本編完結】【小話】
※小説家になろうでも公開中※
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる