メカメカパニックin桜が丘高校~⚙①天災科学者源外君の躁鬱

風まかせ三十郎

文字の大きさ
10 / 26

第09話 桜という名の月見草 桜井咲子の死

しおりを挟む
「残念だが、もう手の施しようがない。手術してもこの娘は助からないだろう」
 
 間先生が厳かに死亡宣言を下した。
 傍らではキノコが伏せ目がちに死亡時刻を確認している。
 誰もが頭を垂れ押し黙っている中、何が楽しいのか、源外の笑い声が不気味に闇の中を木霊した。

「いや~、驚いたなあ。わし、初めて見た。爆発オチで人が死ぬとこ……」
 
 怪我人が出でも、死亡者が出ないのが爆発オチのお約束。
 三十秒後にはすべてが元通りに復元されるから、作中に何度でも利用できるのだ。
 源外だってそのお陰で命を永らえてるわけで、今朝の騒動が現実世界の出来事であれば既に十回くらいは死んでいる。
 無論、巻き添えを喰った野次馬たちも今頃は一人残らず回復して、平素と変わらぬ授業を受けているはずで、桜井咲子を除けば誰一人実質的な被害者は存在しないことになる。
 ではなぜ彼女だけが、--一年三組出席番号十八番桜井咲子だけが回復することなく死に至ったのか……。
 作者が思うに、彼女は余りにも現実を生きすぎた。つまりラノベという非現実な空間において、彼女は自然主義を標榜する作者の人身御供スケープゴートとなったのだ。
 
 作品冒頭で紹介した、彼女の経歴を思い返していただきたい。
 どこにでも転がっている、ごく有り触れた過去の記憶。それを現実として生きる人々のなんと多いことか……。
 だがラノベの暗い森の中では、そんな自然主義者=リア充は粉々に砕け散る運命にある。
 強力な魔法、強力な超能力、強力な法力、強力な光線、強力なパワー、強力なギャグ等、人知を超えたそれらの破壊力に耐えられる人間は現実世界には存在しないのだ。
 つまりだ、残念なことではあるが、桜井咲子はこの世界において死ぬ運命にあったのだ。
 
「リア充爆殺!」
 
 さあ、ラノベを愛する皆さん。もう一度、御一緒に!

「リア充爆殺!」
 
 さあ、もう一度!

「リア充爆殺!」
 
 御唱和、ありがとうございました。--作者。

 読者諸氏もお気づきかと思うが、源外は大変な勘違いをしている。
 桜井咲子の死因は爆死ではなく轢死れきしなのだ。
 それを厳しい口調で指摘したのが愛輝だった。

「源外君、あなたは勘違いしているわ。確かに人は爆発オチでは死なないけど、出オチでは死ぬのよ」
「……それ、どういうこと?」
「彼女、--桜井さんは爆発に巻き込まれたのではなく、あなたのリムジンに追突されて死んだのです」
「……!」
「確か、あのとき運転席でステアリングを握っていたのは、あなたでしたよね、源外君?」
「ーー!」
 
 源外の顔から血の気が引いた。
 機械メカ好きゆえに車も大好きで、「わしに運転させろおおおおお~!」と叫んで強引に運転手のカトーからステアリングを奪ったのは、紛れもなく彼自身なのだ。

「このままだとあなたは道路交通法違反と自動車運転過失致死。いくら未成年でも死刑は免れないでしょうね」
「あわわわわ! 死刑は嫌じゃあああああ~~~~~!」
 
 科学には明るいが刑法には滅法暗い源外。
 未成年には死刑が適用されないとも知らずに大狂乱!
 愛輝の据えたお灸にようやく己の罪を自覚したのか、真っ青な顔で右往左往した挙句、何を思ったのか部屋の片隅にある卓上電話に手を伸ばした。
 が、間一髪、愛輝が受話器を上から押さえ込んだ。

「駄目ですよ。パパ上に頼もうとしても……。事件の揉み消しなんて、このわたくしが許しません!」
「あわわわわわ! パパ上はダメ、ママ上はいない。わしは誰を頼ればいいのじゃあああああ~!」
 
 いかにも大金持ちの御曹司らしい狼狽ぶりだが、そんな窮状の中にあって無罪放免の可能性をとことん追求するのが、科学者たる源外の性癖なのだ。

「そうだ、爺、おまえが罪を被れ! わしの代わりに自首するのじゃ!」
 
 で、代わりに思い付いた方法がこれ。
 悪事を散々積み重ねて出世した大金持ちそのままの醜い発想だが、現実社会と違い、社会正義が罷り通るラノベの世界ではそんな不正が許されるはずもなく、源外を孫のように愛おしむ石見でさえ、「お坊ちゃま、ここは潔く自首なさっては……」と迷うことなく突き放した。
 
 ガ~ンと、源外の背景に集中線が走った。
 石見の裏切り行為(?)に余程のショックを受けたようだ。

「爺、おまえは鬼じゃ……」
「はい、お坊ちゃまの御付きでございますから……」
 
 見事、意趣返しされた源外。
 最早、頼るべき者がいないのを悟ったのか、床にペタンと胡坐を掻いて、うぉ~と髪を掻きむしり絶叫した。

「お終いじゃあああああ~~~~~! 最終回じゃあああああ~~~~~! 我が人生に千片の悔いありィいいいいい~~~~~!」

 なんか早くも作者の色濃い疲労が見え隠れする本作品(八月現在、エアコン故障中の蜃気楼揺らめく部屋で執筆中)。
 ここで一つの短編作品として完結させてもよいのだが、それでは編集長が、編集者が、書店員が、そして読者が承知すまい(えっ、つまんねえからもう止めろ? くだらねえ作品は読みたくねえ? 金返せ、バカ野郎? 早く熱中症で死にやがれ? --ババババババッハ武藤。作者は嫌がらせ大好き~!)。よって続行ぉ~。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2025.12.18)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

処理中です...