44 / 45
第2章 恐怖の残渣
第44話 異世界の保健体育
しおりを挟む
えっと えっと
どういうことだろう?
怪訝な顔をしている私に向かって、アレクサンドラ先生は言葉を続ける。
「だってユメったら、底抜けにお人よしなんだもん。私たちが不慮の事故かなにかで死んじゃったら、きっと蘇生の魔法を使おうとするでしょう?」
う…、確かに反論できない。
たとえ口でやらないと言っても、実際その場に居合わせて悲しむ人たちを見た時に使わないとは言い切れない。
「使ってはいけない理由の一つはユメ、あなたの生活が脅かされるからよ。ユメはのんびり暮らしていきたいのでしょう?でもそのあなたが蘇生魔法を使える魔法使いだということが広く知られたらどうなると思う?王宮で蘇生魔法を使ったことは、今はギリギリ王様からの情報統制で漏えいしていないけれど、今後あなたが蘇生魔法をみだりに使ったら、多くの人に知られることになるわ。この世界で唯一蘇生魔法が使える人間がのんびり生活できると思う?」
「そ、それは確かに…。」
先生に続いてオルデンブルク伯爵が口を開く。
「そして、ユメがそんな面倒くさいことに巻き込まれるのを、私たちがよしとするわけないだろう?もし、蘇生魔法を使ってもその場で自害するよ?」
「…。」
こんなに外堀を埋められては、私は蘇生魔法を使うことができないじゃない。
「人はいつか死ぬんだ。それは10年後かもしれないし、もしかしたら明日かもしれない。でも人は死ぬからこそ、生きている時間を大切にするんじゃないかな?死んでも生き返られると思って生きていく人生にどれほどの価値があるのかな?だからねユメ、精一杯生きて、生きてきた証を無駄にしないためにも、どうか死んだときはそのまま弔ってほしいんだ。賢いユメならわかってくれるよね?」
「はい…。」
オルデンブルク伯爵の言うことはもっともだ。
命は軽視してはいけない。
ここは簡単に復活できるゲームの世界じゃないんだ。前世とは違う異世界だけれど現実の世界なんだ。
「わかりました。肝に命じておきます。」
私はそう言って神妙な面持ちで頷いた。
ポンッと伯爵が手を叩く。
「さぁて、真面目な話はここまで。実はだね、先ほどシェフから極上のアップルパイを3切れくすねてきたのだけど、どうだい?」
あぁもぅ、こういうところが伯爵様ずるいの、良い意味で。だからほんと、大好き!
私とアレクサンドラ先生は顔を見合わせて同時に言う。
「いただきます!」
翌朝、朝食をいただいてから私とメアリーはオルデンブルク伯爵家を出発した。
メアリーとレフィーナはまだまだ遊び足りなそう。
「メアリー、遅くても夏にはミューレンの街に遊びに行くから!」
「絶対、絶対約束だよ?レフィーナ!」
私の魔法を使えば一瞬でここまで来れちゃうんだけれど、そんな無粋なことは言わない。微笑みながら二人の別れを見守るだけだ。
「またね!」
レフィーナが元気良く手を振る。
それではメアリー、私と一緒に言いましょうか?
――行ってきまーす!
伯爵邸を出発し、しばらくは街道を歩く。
懐かしいな、初めてミューレンに出発した時から何も変わらない光景…って、当たり前だわ。色々ありすぎて何年も過ぎた気分だけど、まだほんの少し前のことなんだもん。
周囲に人が見当たらないのを確認してから、私は転移魔法を使った。
次に向かったのはエルフのミュルクウィズ部族の村、エレン。
村の入り口の少し街道側に転移する。
「わぁ、森の中だね!」
ついさっきまでは広い草原の中にいたのに、今は大きな木々に囲まれているので、メアリーは興奮している。
「すごい、すごーい!大きな樹だね!」
「エルフの人たちはこの大きな樹に軽々と登るんだよ?」
「うわぁ…さすが森の人って呼ばれるだけはあるね!」
エレン村は特に外敵を警戒している村ではないが、入口には当番の門兵さんが2人立っている。
「こんにちは。」
笑顔であいさつすると、門兵は私の顔を見て思い出したようだ。
「こんにちは、ユメ様!ようこそ、エレンの村へ。もしかして、往診…ですか?」
そういえば、村を出る際にそういう約束をしていた。
「そうですね、私たちの湯治も兼ねて…ですけれど。あとで村長さんのお宅にご挨拶に伺いますので、先に知らせていただけると助かります。」
「わかりました!」
門兵のうち一人が元気よく返事をするなり足早に駆けていった。
私は先にソフィアの家を訪ねる。
ソフィアはちょうど仕事に向かうために家から出るところだった。
「ユメ!ユメじゃないの!元気にしていた?」
「はい、おかげさまで。あ、こちらの子は娘のメアリーです。」
「は、初めましてっ。メアリーです…。」
「む!?娘ぇ!?」
あー、ごめんなさい、そうですよね。そうなりますよね。
もはやお約束とさえ言える反応。
「はい。身寄りの無かったこの子を、私が養子として引き取りました。とっても優しくて賢い子で、家事は何でもできるし、料理は美味しいし、お仕事も手伝ってくれるので助かっちゃってます。」
「そうなんだ!私はソフィアって言うの。メアリーちゃん、よろしくね!」
私にベタ褒めされたメアリーは顔を真っ赤にしている。
でも、大げさでもなんでもなくて本当のことだもん。
「あ、あの…ソフィアさんはハーフエルフは大丈夫…ですか?」
見るからにハーフエルフの外見をしているメアリーだけれど、そのことにソフィアが何も触れないので、メアリーは確かめたくなったようだ。
「うん。大丈夫というか、ここの部族の皆、ハーフエルフに偏見は持っていないわよ?むしろ、エルフと人間が子をなせるのは、とっても珍しいの。だからメアリーちゃんはご両親の愛の奇跡、異種族の間に生まれた奇跡なの。誇ってもいいくらいだわ!」
そうか、そういう考えもあるのか。
自分の存在をこれまでで一番の言葉で肯定されたメアリーは、とびきりの笑顔を見せた。
仕事に向かうソフィアを見送り、村長の家に着くと、何やら50人くらいの行列ができている。
「ユメ様、お待ちしていました。皆、往診の日を心待ちにしておりましたので…」
え?もしかして、この行列…みんな患者さん!?
いやいやいや、えええ!?
どうやら村長の家の一室を即席の診療所にしたようだ。
「あはっ、あははは。どうも~。」
ひきつった笑いを浮かべながら、村長の家に入る。
村長さんには始祖の守りのお礼をしっかりとしたかったのだけれど、患者さんを待たせるわけにもいかないので、挨拶は早々に切り上げて、さっそく診察に取り掛かった。
ってこれ、いつ終わるの…?
いや、まぁ全能力値最大ですし?体力的に疲れるとか魔力切れとかはありませんけれど?数値で表すことのできない疲れはありますよ?
それでも、お世話になったこの村のためです!頑張ります!
という心の中の葛藤がありつつ、私は怒涛の勢いで治療していった。中には私が治療できない分野の患者さんもいたので、その人たちには手早くアレクサンドラ先生の病院への紹介状をしたため、渡す。
朝からずっと続けて治療に専念し、全員を診終わった頃には日が大きく傾いていた。
「宿に泊まるの?今日もウチに泊まればいいよ。」
というソフィアの言葉に甘えて、私とメアリーはソフィアの家で一泊させていただくことになった。
と、その前に!忘れてはならないのがここの温泉!
村長さんが根回ししてくれていたのか、今回も無料で温泉に入れた。
仕事帰りのソフィアも誘って3人で温泉に。
そして朝の一件があってから、メアリーはソフィアさんにすっかり懐いてしまった。
いや、メアリーがいろいろな人に心を開いてくれるのは嬉しいよ?嬉しいんだけど…さ?なんだかこう、取られたみたいで複雑な心境。
3人で露天風呂に浸かっていると、メアリーが私とソフィアさんを交互に見始めた。
「どうしたの?メアリー。」
「う…うん、えとね?エルフってその…ムネ大きくならないの?」
思わず私とソフィアはぶはっと噴き出した。
「な、な、なにを言ってるのかな?」
確かに私は巨乳とまではいかなくても、ソフィアさんほど慎ましやかというわけでもない。
もし、エルフがヒトよりもスレンダーになりがちだったら、ハーフエルフの自分はどうなるの?というのは素朴な疑問、と言えなくもないわね。
「えっと、メアリーさん。確かにエルフの胸の平均的なカップはヒト種よりも小さめですね。どこから説明しましょうか…。メアリーさんは、エルフもヒトも元は四足歩行の動物から進化した、というのはご存知ですか?」
驚いた!この異世界にも進化論ってあるんだ。
「なんとなく聞いたことはあります。」
「うん。進化する前の四足歩行時代はお尻が顔と同じ高さにありました。そのお尻を見て、雌が赤ちゃんを産める準備ができているかどうかを雄は判断していたんです。今でも猿などにその習性が見られますね。」
これは私も前世で聞いたことがある。猿のお尻が赤くなるのは発情期なんだって。
「ところが二足歩行をするようになると、お尻と顔の高さが変わりました。そこで二足歩行をするようになってからは、お尻の代わりに胸が膨らむようになったんです。」
「そうなんですね。」
「そしてここからが重要なのですが、エルフとヒトの決定的な違いは寿命です。長命のエルフは、子孫を残すことに積極的ではありません。故に、赤ちゃんを産み、育てる準備ができたというサイン、つまり胸が膨らむことも消極的になった、というのがもっぱらの学説ですね。」
なるほど、なるほど。
「ハーフエルフは…どうなんでしょう?」
メアリーが自分の胸に手を当てる。
「話に聞くところによると、ケースバイケースだそうですよ。エルフでもヒトでも大きかったり小さかったり個人差があるでしょう?でも、大きくなりたいと思うのはヒト寄りの考えですから、大きくなる可能性はありますね。まぁまだ若いんだから今からを楽しみにしましょう?」
「はい!」
ひょんなことからこの世界の生物と保健を学んでしまった。どちらも専攻してはいなかったけれど、こうして聴くと興味深い。そしてこういう知識を私はメアリーに全く教えてあげられないので、ありがたいです…はい。
翌日、エレンの村の人たちにお別れを告げ、森の中を歩く。
誰もいないのを確認して、今日も転移魔法で移動だ。
村を出たのはついこの前だというのに、もう何か月も帰っていない気持ち。でもようやく帰れる
――私とメアリーのマイホームに転移!
どういうことだろう?
怪訝な顔をしている私に向かって、アレクサンドラ先生は言葉を続ける。
「だってユメったら、底抜けにお人よしなんだもん。私たちが不慮の事故かなにかで死んじゃったら、きっと蘇生の魔法を使おうとするでしょう?」
う…、確かに反論できない。
たとえ口でやらないと言っても、実際その場に居合わせて悲しむ人たちを見た時に使わないとは言い切れない。
「使ってはいけない理由の一つはユメ、あなたの生活が脅かされるからよ。ユメはのんびり暮らしていきたいのでしょう?でもそのあなたが蘇生魔法を使える魔法使いだということが広く知られたらどうなると思う?王宮で蘇生魔法を使ったことは、今はギリギリ王様からの情報統制で漏えいしていないけれど、今後あなたが蘇生魔法をみだりに使ったら、多くの人に知られることになるわ。この世界で唯一蘇生魔法が使える人間がのんびり生活できると思う?」
「そ、それは確かに…。」
先生に続いてオルデンブルク伯爵が口を開く。
「そして、ユメがそんな面倒くさいことに巻き込まれるのを、私たちがよしとするわけないだろう?もし、蘇生魔法を使ってもその場で自害するよ?」
「…。」
こんなに外堀を埋められては、私は蘇生魔法を使うことができないじゃない。
「人はいつか死ぬんだ。それは10年後かもしれないし、もしかしたら明日かもしれない。でも人は死ぬからこそ、生きている時間を大切にするんじゃないかな?死んでも生き返られると思って生きていく人生にどれほどの価値があるのかな?だからねユメ、精一杯生きて、生きてきた証を無駄にしないためにも、どうか死んだときはそのまま弔ってほしいんだ。賢いユメならわかってくれるよね?」
「はい…。」
オルデンブルク伯爵の言うことはもっともだ。
命は軽視してはいけない。
ここは簡単に復活できるゲームの世界じゃないんだ。前世とは違う異世界だけれど現実の世界なんだ。
「わかりました。肝に命じておきます。」
私はそう言って神妙な面持ちで頷いた。
ポンッと伯爵が手を叩く。
「さぁて、真面目な話はここまで。実はだね、先ほどシェフから極上のアップルパイを3切れくすねてきたのだけど、どうだい?」
あぁもぅ、こういうところが伯爵様ずるいの、良い意味で。だからほんと、大好き!
私とアレクサンドラ先生は顔を見合わせて同時に言う。
「いただきます!」
翌朝、朝食をいただいてから私とメアリーはオルデンブルク伯爵家を出発した。
メアリーとレフィーナはまだまだ遊び足りなそう。
「メアリー、遅くても夏にはミューレンの街に遊びに行くから!」
「絶対、絶対約束だよ?レフィーナ!」
私の魔法を使えば一瞬でここまで来れちゃうんだけれど、そんな無粋なことは言わない。微笑みながら二人の別れを見守るだけだ。
「またね!」
レフィーナが元気良く手を振る。
それではメアリー、私と一緒に言いましょうか?
――行ってきまーす!
伯爵邸を出発し、しばらくは街道を歩く。
懐かしいな、初めてミューレンに出発した時から何も変わらない光景…って、当たり前だわ。色々ありすぎて何年も過ぎた気分だけど、まだほんの少し前のことなんだもん。
周囲に人が見当たらないのを確認してから、私は転移魔法を使った。
次に向かったのはエルフのミュルクウィズ部族の村、エレン。
村の入り口の少し街道側に転移する。
「わぁ、森の中だね!」
ついさっきまでは広い草原の中にいたのに、今は大きな木々に囲まれているので、メアリーは興奮している。
「すごい、すごーい!大きな樹だね!」
「エルフの人たちはこの大きな樹に軽々と登るんだよ?」
「うわぁ…さすが森の人って呼ばれるだけはあるね!」
エレン村は特に外敵を警戒している村ではないが、入口には当番の門兵さんが2人立っている。
「こんにちは。」
笑顔であいさつすると、門兵は私の顔を見て思い出したようだ。
「こんにちは、ユメ様!ようこそ、エレンの村へ。もしかして、往診…ですか?」
そういえば、村を出る際にそういう約束をしていた。
「そうですね、私たちの湯治も兼ねて…ですけれど。あとで村長さんのお宅にご挨拶に伺いますので、先に知らせていただけると助かります。」
「わかりました!」
門兵のうち一人が元気よく返事をするなり足早に駆けていった。
私は先にソフィアの家を訪ねる。
ソフィアはちょうど仕事に向かうために家から出るところだった。
「ユメ!ユメじゃないの!元気にしていた?」
「はい、おかげさまで。あ、こちらの子は娘のメアリーです。」
「は、初めましてっ。メアリーです…。」
「む!?娘ぇ!?」
あー、ごめんなさい、そうですよね。そうなりますよね。
もはやお約束とさえ言える反応。
「はい。身寄りの無かったこの子を、私が養子として引き取りました。とっても優しくて賢い子で、家事は何でもできるし、料理は美味しいし、お仕事も手伝ってくれるので助かっちゃってます。」
「そうなんだ!私はソフィアって言うの。メアリーちゃん、よろしくね!」
私にベタ褒めされたメアリーは顔を真っ赤にしている。
でも、大げさでもなんでもなくて本当のことだもん。
「あ、あの…ソフィアさんはハーフエルフは大丈夫…ですか?」
見るからにハーフエルフの外見をしているメアリーだけれど、そのことにソフィアが何も触れないので、メアリーは確かめたくなったようだ。
「うん。大丈夫というか、ここの部族の皆、ハーフエルフに偏見は持っていないわよ?むしろ、エルフと人間が子をなせるのは、とっても珍しいの。だからメアリーちゃんはご両親の愛の奇跡、異種族の間に生まれた奇跡なの。誇ってもいいくらいだわ!」
そうか、そういう考えもあるのか。
自分の存在をこれまでで一番の言葉で肯定されたメアリーは、とびきりの笑顔を見せた。
仕事に向かうソフィアを見送り、村長の家に着くと、何やら50人くらいの行列ができている。
「ユメ様、お待ちしていました。皆、往診の日を心待ちにしておりましたので…」
え?もしかして、この行列…みんな患者さん!?
いやいやいや、えええ!?
どうやら村長の家の一室を即席の診療所にしたようだ。
「あはっ、あははは。どうも~。」
ひきつった笑いを浮かべながら、村長の家に入る。
村長さんには始祖の守りのお礼をしっかりとしたかったのだけれど、患者さんを待たせるわけにもいかないので、挨拶は早々に切り上げて、さっそく診察に取り掛かった。
ってこれ、いつ終わるの…?
いや、まぁ全能力値最大ですし?体力的に疲れるとか魔力切れとかはありませんけれど?数値で表すことのできない疲れはありますよ?
それでも、お世話になったこの村のためです!頑張ります!
という心の中の葛藤がありつつ、私は怒涛の勢いで治療していった。中には私が治療できない分野の患者さんもいたので、その人たちには手早くアレクサンドラ先生の病院への紹介状をしたため、渡す。
朝からずっと続けて治療に専念し、全員を診終わった頃には日が大きく傾いていた。
「宿に泊まるの?今日もウチに泊まればいいよ。」
というソフィアの言葉に甘えて、私とメアリーはソフィアの家で一泊させていただくことになった。
と、その前に!忘れてはならないのがここの温泉!
村長さんが根回ししてくれていたのか、今回も無料で温泉に入れた。
仕事帰りのソフィアも誘って3人で温泉に。
そして朝の一件があってから、メアリーはソフィアさんにすっかり懐いてしまった。
いや、メアリーがいろいろな人に心を開いてくれるのは嬉しいよ?嬉しいんだけど…さ?なんだかこう、取られたみたいで複雑な心境。
3人で露天風呂に浸かっていると、メアリーが私とソフィアさんを交互に見始めた。
「どうしたの?メアリー。」
「う…うん、えとね?エルフってその…ムネ大きくならないの?」
思わず私とソフィアはぶはっと噴き出した。
「な、な、なにを言ってるのかな?」
確かに私は巨乳とまではいかなくても、ソフィアさんほど慎ましやかというわけでもない。
もし、エルフがヒトよりもスレンダーになりがちだったら、ハーフエルフの自分はどうなるの?というのは素朴な疑問、と言えなくもないわね。
「えっと、メアリーさん。確かにエルフの胸の平均的なカップはヒト種よりも小さめですね。どこから説明しましょうか…。メアリーさんは、エルフもヒトも元は四足歩行の動物から進化した、というのはご存知ですか?」
驚いた!この異世界にも進化論ってあるんだ。
「なんとなく聞いたことはあります。」
「うん。進化する前の四足歩行時代はお尻が顔と同じ高さにありました。そのお尻を見て、雌が赤ちゃんを産める準備ができているかどうかを雄は判断していたんです。今でも猿などにその習性が見られますね。」
これは私も前世で聞いたことがある。猿のお尻が赤くなるのは発情期なんだって。
「ところが二足歩行をするようになると、お尻と顔の高さが変わりました。そこで二足歩行をするようになってからは、お尻の代わりに胸が膨らむようになったんです。」
「そうなんですね。」
「そしてここからが重要なのですが、エルフとヒトの決定的な違いは寿命です。長命のエルフは、子孫を残すことに積極的ではありません。故に、赤ちゃんを産み、育てる準備ができたというサイン、つまり胸が膨らむことも消極的になった、というのがもっぱらの学説ですね。」
なるほど、なるほど。
「ハーフエルフは…どうなんでしょう?」
メアリーが自分の胸に手を当てる。
「話に聞くところによると、ケースバイケースだそうですよ。エルフでもヒトでも大きかったり小さかったり個人差があるでしょう?でも、大きくなりたいと思うのはヒト寄りの考えですから、大きくなる可能性はありますね。まぁまだ若いんだから今からを楽しみにしましょう?」
「はい!」
ひょんなことからこの世界の生物と保健を学んでしまった。どちらも専攻してはいなかったけれど、こうして聴くと興味深い。そしてこういう知識を私はメアリーに全く教えてあげられないので、ありがたいです…はい。
翌日、エレンの村の人たちにお別れを告げ、森の中を歩く。
誰もいないのを確認して、今日も転移魔法で移動だ。
村を出たのはついこの前だというのに、もう何か月も帰っていない気持ち。でもようやく帰れる
――私とメアリーのマイホームに転移!
106
あなたにおすすめの小説
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。
とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。
…‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。
「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」
これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め)
小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる