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story 2 クラ
名前 2
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…………………
…………
どれくらい眠っていたのだろうか。
目が覚めると知らない天井が見えた。
陽のあたり具合からして お昼頃だろうか。
龍馬
「おっ!!やっと気が付いたか!
ちっくと待っちょれー!武市さぁーん!!」
龍馬が叫ぶと奥から凛々しい眉の男の人が出てきた。
クラ
「……ここはどこ…?」
龍馬
「安心せぇ!ここはワシの家じゃき!!」
武市
「おまんは3日も眠っちょった。」
龍馬
「そうじゃ!そうじゃ!
おかげで毎日武市さんが見舞いに来るき、
もう少しで武市さんの顔も見飽きる所だったぜよ!!」
武市
「ちょッ…!!おまんは余計な事をッ…!!!」
恥ずかしそうに顔を赤らめコホンと咳払いをした。
武市
「改めておんし名は何と言う、何処から来た?
親兄弟は?」
クラ
「えっ……あっ…名前はクラです…」
それからクラは今まで自分の身に起きた事を話した。
自分が何処からきたか。
一緒に居たソウが侍に買われていったこと。
生きていくのに必死で盗みもしたこと。
そして、女の子に変装して身を売ったことも。
全てを話した。
あまりの話に武市も龍馬も話を理解するのに少し時間がかかった。
武市
「少し分からん事もあったが、大まかには理解したぜよ。」
龍馬
「あの商人は子供ら売る闇商人だったちゅーことか…
この御時世にまだそんな事やる奴らが居たとはのぅ…」
そう言うと龍馬は頭をポリポリとかいた。
武市
「こんな小さいのに大変な苦労したんじゃな 」
そう言う武市の目は優しかった。
龍馬
「ほんで?
おまんこれからどうする気ぜよ」
クラ
「……わかんない」
龍馬
「ほんならここ居ればえぇ!!
大丈夫じゃき!
なぁーんも心配いらん!」
武市
「なっ…!!何を言いゆうがぜよ龍馬!
素性が分からん者を土佐に入れたなんて知れたらおまん捕まるぜよ!」
そう武市が言うと龍馬は真剣な顔付きで悩みしばらくしてからハッと立ち上がった。
龍馬
「良い事思い付いたぜよ!!
その前にまずは腹ごしらえじゃ!
3日も寝てたき腹減っとるじゃろ!!」
そう言うと奥からにぎりめしを持ってきてくれた。
龍馬が握ったのか形はいびつだったが、
ここ何日間もご飯を食べていなかったクラにとってはそんな事関係なかった。
龍馬
「相当腹が空いてたんじゃな。
慌てんでも誰も取らんきゆっくり食べや!」
まるで餌を目の前にした獣の如くがっつくクラに優しく声を掛けた。
武市
「それで?良い策とはなんぜ?」
龍馬
「それはのぅ……秘密じゃき!」
そう龍馬は悪戯っぽく言った。
武市は真面目で龍馬の兄貴分の様に見えるが
よく龍馬にからかわれる事が多い様だ。
武市
「…ったくおんしはッ!!
まぁええ、今日の所は帰るぜよ」
龍馬
「なんぜぇ、もう帰るがか」
武市
「また、来るきに。
クラ、今日はゆっくり休めよ」
クラ
「はい……!ありがとうございます!!」
そう健気に笑うクラの頭を優しくクシャッと撫で武市は帰って行った。
程無くして龍馬も何処かに出かける準備をした。
龍馬
「ちっくとワシも出掛けて来るきに!!
おんしはゆっくり休んじょれ!
何かあったら乙女姉やんに言うと良いぜよ!」
ニカッと笑い龍馬は出て行った。
1人残されたクラはとりあえず食べ終えた皿を戻しに家の中を歩いて回った。
クラ
「ここは誰かの部屋かな??」
薄暗い部屋を覗いていると背後から大きな声がした。
「そこで何しゆうがッ?」
突然聞こえた声に驚き思わず飛び上がった。
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