泣いた鬼の子

ふくろう

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story 2ソウ

出会い 5

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落ちていた刀を拾うとブツブツと言いながら刀を構えた。






ソウ
「コロス……コロス……」





山賊頭
「ハンッ!
何言ってやがる!野郎共 殺れッ!」






一斉にソウに向かって飛び掛かる山賊達






近藤
「やめろぉおぉぉおッッッ」







次の瞬間、一瞬にして山賊達は見るも無慚に斬り捨てられ


辺り一面に血飛沫ちしぶきが豪快に飛び散った。







ソウ
「アハハ……アハハハハハハ!!!!!!!

あぁー……楽しい……!!」






まるで子供が無邪気に遊んでいるかの様に次々と山賊達を斬り裂いていく。




恐怖のあまり逃げ惑う山賊達も

風の様な速さで追い掛けて行き真っ赤な花を咲かせた。



先程まで緑が生い茂っていた森が一瞬にして真っ赤に染まり



まるでであった。






先程まで余裕に座っていた山賊頭も腰を抜かし

恐怖に歪んだ表情を見せ命乞いをした。





山賊頭
「……悪かったッッ!!!!
許してくれッッ!!!

金ならいくらでも…」





ソウ
「もっと……もっと……ハハハッ!!」






屈託の無い笑みを浮かべながら
山賊頭の元へ静かに近寄り、跡形もなく斬り裂かれた。



山賊達はソウのおかげで全滅したが……




ソウ
「まだ…足らない…血が…血が欲しい……」





そう言って次に目を付けたのはだった。






ソウ
「フフフ……ちょうだい…

…血を…ちょうだいッッ……」





ポタリポタリと血が滴る刀を土方に向け飛び掛かる。








ドサッ……







人の体に刃物が刺さり剣筋を伝って血が流れ落ちる。







しかしそれは土方のものではなく近藤のものであった。





近藤
「やめろッ!!

自分をしっかり持つんだソウッッ!!」





近藤はそのまま刀を引き抜く事無く

力一杯ソウを抱き締めた。




近藤の温もりを感じソウから徐々に殺気が消え…

紅蓮に輝いていた瞳の色も元に戻った。






ソウ
「……おに…ぃちゃん……?」






近藤
「よかった……元に戻ったか…。」







ソウが顔を上げると痛みに耐えながらも安堵した表情を見せる近藤の顔があった。





ソウ
「お兄ちゃん…どうしたの?」





そう言って辺りを見渡すと一面が血に染まっている。





手元を見ると自分が近藤を刺し貫いている。





ソウ
「どっ…どうして…?

僕がやったの……?

僕は…僕は……


うわぁあぁぁぁあぁあぁぁあぁッッ」






自我を失っていた時の記憶が蘇り、

恐怖と罪悪感から大声をあげ

パニックの余りそのまま気を失った。






















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