泣いた鬼の子

ふくろう

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story 1 クラ

土佐へ

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無理矢理ソウと引き離されたクラは

ただ泣きじゃくる事しか出来なかった。




クラ
「ソウ…ソウを返してよッッ…!!!」




何度も何度も大声で叫んだが何の音も聞こえなかった。


次の瞬間ごふっと鈍い音と共にクラは吹き飛ばされた



お腹に激痛が走る。



クラ
「ゴホッ…ゴホッ…」




商人
「やかましいッ!!
いつまでも泣いてるな!!

売れ残りがッ!!」



クラの腹部を殴り大声で一括した。


そのまま手早く荷物をまとめると




商人
「おい…行くぞ!!」




クラ
「ッ……どこにいくの?」




商人
「次の売り場だよ。

に行く」




あまり聞き覚えのない土地名だが、クラは付いていくしかなかった。







道中、商人が機嫌が良い時は色んな話を聞かされた。




これから行く土佐藩には未だに武士階級って言うものがあること…



子供を欲しがる人達が世の中には沢山いること…




それと対になる様に子供を売って口減らしをする親も沢山いること…



高い家柄などは、変な性癖を持つ者や相続問題など



色んな理由を持ち子供を高く買ってくれること…



ソウはそう言った家柄に買われていったと言うこと…




聞けば聞くほど悲しくなる様な事ばかりだ。




土佐までの行く間、何ヶ所か売り場を巡ったが

なかなかクラの買い手はつかず



その度に顔以外を殴られたり罵声を浴びせられた。




"食事は自分で稼いで、自分で食べろ"




そう言われ空腹のあまり屋台や畑から食べ物を盗んで食べたりもした…



酷い時は女の子に変装させられ客を取らされたりもした。




色んな思いをしながら土佐に着いた時には

クラは心身共にかなり疲れ切っていた。





早く施設に帰りたい…


ソウに会いたい…



売り場に着いた頃にはうわ言の様に



クラ
「ソウ…ソウ……」




としか呟かなくなった。








最後の売り場でもクラには買い手がつかなかった。




商人
「ケッ…
ここでもダメならもう買い手はつかねぇ。
もうこいつは用済みだな」



そう吐き棄てるとクラの手足を縄で縛り




クラ
「おじさん…?何してるの…?」




商人
「もう、おめぇは用済みだ。
俺を恨むなよ、
恨むなら買い手がつかなかった自分自身を恨むんだな」




そう言うとクラを流れの早い川に突き落とそうとした。

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