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story 1 ソウ
山賊
しおりを挟むもうどれだけの時を歩いたのだろうか
逃げ出そうとすると殴られる…
泣き声をあげると殴られる…
立ち止まると殴られる…
ソウは今起きている、
そしてこれから起きるであろう
未知の恐怖に小さな体を震わせながら歩き続けた。
歩いても歩いても景色は変わらない。
自分達は相当の山奥にいた事が分かった。
1分が1時間に感じる程長い長い恐怖とソウは1人戦っていた。
山道をひたすら歩き進めると小汚い村人風の男が道の真ん中でうずくまってる。
ソウ達が通り過ぎようとすると…
男
「お侍様…どうか私にお情けを…」
その声と同時に侍が歩みを止めたので振り返ると
侍の首元でギラリと鋭く光る刀 が見え
それを合図かの様に次々と刀や銃を持った男達が大勢現れた。
この山を拠点とする
山賊
であった。
山賊の頭を名乗る男が侍の前にズカズカと現れ
山賊頭
「命が惜しくば金目の物と身包み全て置いていくこったな」
侍
「クッッ……!!
貴様ら儂にこの様な事をしてただでは済まさ…」
話し終わる前に侍の首が斬られクルクルと宙を舞った。
子分
「あーあ…
頭はすぐ殺すんですからー」
山賊頭
「フン……
初めからこいつは死ぬ定め。
それが早いか遅いか儂の気分次第だっただけの話よ…」
そう言うと山賊達は大声でゲラゲラと汚く笑った。
山賊達の笑い声が響き渡る中
ソウは力無くその場に座り込んだ。
自分の目の前で人が殺されたのだ。
足元には血溜まりが出来
首が無い体がピクピクとまだ痙攣している。
子分
「頭ぁ~このガキどういたしやす」
山賊頭
「ガキもいたのか。
黄泉の道は1人では寂しかろう…
のぅ…お侍殿…」
そう言うとソウを見ながらニタリと笑みを浮かべ
山賊頭
「こいつも殺せ」
山賊達が一斉にソウの方を向いた。
殺される…
自分もこの侍の様に殺されてしまう。
ソウ
「に…逃げなきゃ…」
しかし、恐怖のあまり足が言うことを聞かない。
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら
山賊達は近付いてくる。
ソウ
「動け…動け動け動け動けッ!!!!!」
恐怖で動かなかった足がやっと動きソウは走って逃げ出した。
手下
「ガキが逃げたぞッッ!!追えッッ!!」
山賊達は奇声をあげながら追ってきた。
ソウ
「はぁ…はぁ…もっと早く…早く逃げなきゃ」
いくら走るのが得意なソウでも子供の足と大人の足では全く違う
その上、不慣れな山道と恐怖
どんなに逃げても追いつかれてしまう
それでも懸命に走った。
ソウ
「誰か…助けてッッ!!!」
出来る限り大きな声で叫びながら走り続けた。
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